もやもやレビュー

ゾンビだらけの中で生まれた男の友情に萌え『ドーン・オブ・ザ・デッド』

Dawn of the Dead Directors Cut
『Dawn of the Dead Directors Cut』
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 2004年に公開された『ドーン・オブ・ザ・デッド』。1978年に製作された同名映画(邦題は『ゾンビ』)の現代版。原作は、近年、世にあふれている現代B級ホラー映画の原点といっても過言ではない名作だが、本作もまた音楽にも、ゾンビにも、すべて王道の中に斬新さがあって、もう最高なんです。

 主人公は看護婦のアナ。ある朝、彼女が目を覚ますと近所の少女のヴィヴィアンが、血だらけで寝室に現れます。アナの夫、ルイスが慌てて駆け寄りますが、その瞬間ヴィヴィアンはルイスの首に噛みつきます。とてつもない量の血が飛び散る中、アナは懸命にルイスを助けようとしますが、そのままご臨終。しかしすぐさまルイスが起き上がりアナに襲いかかります。パニックになったアナは、パジャマのまま車に飛び乗り町の中へ。その後、アナは警察官のケネスなどわずかな生存者と出会い、ショッピングモール「クロスロード・モール」に立てこもることに。

 ゾンビに囲まれたショッピングモールの中で、次第に生活に慣れていった生存者たち。その中でも注目したいのが、ショッピングモール近くの銃砲店に取り残されたアンディと、ケネスの友情。双眼鏡とホワイトボードを使って、離れた屋上同士でコミュニケーションを取ります。チェスをしたり、屋上から見えるゾンビを撃つゲームをしながら友情を深めていく二人。絶望的な世界にもかかわらず、希望が消えないのは、ケネスたちの友情のように生きる上で必要な人間関係が細かく描かれているからだと思います。しかし、細かく描かれているのは人間関係だけではありません。ゾンビの死に方、攻撃の仕方などなど。グロさはかなりハイレベルですが、ゾンビ映画の王道をチェックしたい方はぜひ。

(文/トキエス)

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