冬に飽きたら季節外れの夏映画を『プールサイド・デイズ』
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いよいよ冬服に飽きる3月である。晴れた日には軽いコートを着ているが、まだ後悔することも多い。分厚いタイツを脱ぎ捨てて、部屋中の窓を全開にしたい。アイスコーヒーをテイクアウトして、ベンチが見つからなくても適当なところに座って、だらだらダラダラしたい。缶ビールでもいい。ギラついた夏の太陽が、随分と会っていない友達のように、すっかり遠い存在になっている。あいつは一体どこに行ったんだ。
夏の少年を描いた作品といえば、ティモシー・シャラメの『君の名前で僕を呼んで』が近年のヒット作だが、もっと青臭く、もっとリアルな非リア充の少年はいかがだろう。
『プールサイド・デイズ』は、インディペンデントな作品が多く、映画ファンに定評のあるスタジオ「FOXサーチライト」が制作した作品。日本では残念ながら1館のみの限定公開だったので、ぜひこのコラムで紹介したかった1本である。
母の彼氏トレントの別荘へ旅行することになった、根暗な少年ダンカン、14歳。トレントから冒頭に投げかけられるセリフは「お前の点数は10点中3点だ」。思春期にこれはきついだろう。アッパーな雰囲気になじめず、一人行動をしていたダンカンだが、ふと立ち寄ったウォーターパークで、変わった人たちとの出会いを経験する。主人公の成長のきっかけになるのが、バイト先の先輩(サム・ロックウェル)。そう、思春期って、ちょっとした出会いで舵切りがぐぐーっと方向転換したりする。
爽やかな映画。日焼けの分だけ成長したダンカンの姿が眩しい。あぁ、夏が恋しい。
(文/峰典子)