もやもやレビュー

壊し、壊され、再生する『雨の日は会えない、晴れた日は君を想う』

雨の日は会えない、晴れた日は君を想う [Blu-ray]
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マシュー・マコノヒーがアカデミー賞主演男優賞を受賞した『ダラス・バイヤーズクラブ』を手がけたジャン=マルク・ヴァレ監督による作品で、主演は一度見たら忘れられない顔立ちのジェイク・ギレンホール。ヒロインにナオミ・ワッツ。否応なく期待してしまう組み合わせである。

雨の日は会えない、晴れた日は君を想う。随分と叙情的でポエティックな邦題がついているが、騙されないでほしい。原題は『Demolition』。破壊・解体の意味だ。

ウォール街のエリート銀行員デイヴィス(ジェイク・ギレンホール)は、ある日、妻を交通事故で失う。しかし、デイヴィスは一滴の涙も流すことができない。ありとあらゆるものを破壊し始めたり、壊れた自販機へのクレームを伝えるために長文の手紙を書いたりと、イカれ男へ変貌を遂げていく。

まるでサイコパスのようにエスカレートしていくデイヴィスだが、どこか憎めない側面もあり、その破壊行為には共感すら覚えてしまう。そして、いくつかの出逢いが彼に喪失のリアリティを感じさせ、苦しみを与え、再生へと導いていく。ジェイク・ギレンホールとナオミ・ワッツの演技が素晴らしいのだが、そこにみずみずしい魅力を添えるのが、ナオミの息子役のジュダ・ルイス。他の出演作品も見たくなった。

重いテーマに感じるかもしれないが、軽やかな音楽のおかげか、ギリギリのバランスで尖りすぎることなく描かれている。謎めいた邦題の訳は、ぜひ劇中でご確認を。

(文/峰典子)

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