死に際のいい男ショーン・ビーン
数年前のことだが、アメリカの某カルチャーサイトが発表した「劇中でよく死ぬ映画俳優TOP10」というランキングを見かけた。出演回数における死亡率に加え、どんな死に方なのか、それは印象的なシーンなのか。というようなことも加味されているようだった。そこで栄えある(?)1位に選ばれていたのは、イギリス人俳優ショーン・ビーンである。
厳密に言うと、もっとたくさん死に役を演じる俳優もいるにはいるのだが、ビーンは若い頃から悪役を演じることが多かったという理由に加え、死亡シーンのバリエーションが豊富で、より印象に残るというのだ。例えば、ハリソン・フォード主演のハリウッド大作『パトリオット・ゲーム』(1992)では、ハリソン演じるCIA分析官に殺害された弟の仇を討とうとするテロリスト役。実際に顔を負傷するほどの熱演ぶりで、船ごと爆死するシーンは激しく見応え満点である。
『ロード・オブ・ザ・リング』(2001)では、ビーン演じるボロミア卿が、凶暴なオーク軍団から仲間を守るため、胸に3本の矢を受けて息を引き取る(このシーンはシリーズ屈指の名場面)。また、過去7年にわたりエミー賞の常連であるドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」(2011〜)では、王の側近スターク役で出演。中心人物として活躍するかと思いきや、政権争いに巻き込まれ、シリーズ序盤にまさかの惨殺。
とにかく彼が登場するや否や、死亡フラグが出ていないか、つい過剰反応を起こしてしまうのである。でもそれはビーンの演技が素晴らしく、引き込まれてしまうからこそ。これからもショーン・ビーンの死に際から目が離せない。
(文/峰典子)