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復讐心に駆られるサイコパスになぜか共感してしまう『完全なる報復』

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 急に幸せを奪われたら、あなたはどうしますか? きっとあなたがどんなに優しくて大人しい人間でも、相手を憎む気持ちは少なからず芽生えるはず。今回ご紹介するのは、幸せを奪われ復讐心に燃える男のストーリー。ジェラルド・バトラー主演の『完全なる報復』です。

 エンジニアのクライドは、愛する妻と娘とともに幸せな日々を暮らしていました。しかしある日、一家に悲劇が襲います。強盗が侵入し、妻と娘を惨殺され、おまけにクライドも重傷を負ってしまうのです。クライドの傷が回復するころ、犯人の二人組も逮捕されますが、決定的な証拠をつかめずに裁判は難航。事件を担当する検事のニックは、犯人の一人と司法取引を行い、決定的な証言を得ます。そのおかげで、犯人の一人は死刑判決に。しかし、証言した一人は大幅に罪が軽減されます。もちろん納得のいかないクライドは何度もニックと接触するも、彼の力ではどうしようもできませんでした。さらにクライドは罪が軽くなった男とニックが握手する姿を見て、復讐心に駆られます。

 10年後、死刑判決を受けた犯人の死刑執行の日。犯人はなんと通常とは異なる薬物を使用され、全身から出血し苦しみもだえて死亡します。死刑執行装置にとあるメッセージが書かれていたことから、ニックはクライドが犯人だと確信。しかし、クライドの復讐劇は始まったばかりなのでした。

 復讐心に燃えるクライドは、犯人を独自で捕まえ、気絶できなくなるような薬を投与しながら残虐な拷問を死ぬまで続けます。行動だけ見るとまさにサイコパス。なのになぜか共感できちゃうんですね。それは誰にでもある復讐心をストレートに、そしてちょっぴり残酷に描いているからだと思います。クライドは凶悪犯。しかし視点を変えてみてみると、司法取引制度を訴えるヒーローのようにも思えます。ちなみに日本でも司法取引制度が今年の6月から導入されました。現時点で殺人や性犯罪は対象にならないようですが、それによって復讐心に駆られてしまったり、人をとことん憎んだりする人が増えるのではないかな、と少し不安です。

(文/トキエス)

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