もやもやレビュー

人への思いやりや優しさは、無敵だと学ぶ『恋はデジャ・ブ』

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アメリカでは、グラウンドホッグ(ウッドチャック)が春の訪れの伝達者であることをご存知だろうか。どうやら彼らが冬眠から目覚めるとされる2月2日の天気が曇りだと春の早期到来が予想され、晴れだと冬があと6週間ほど続くと予想されるとか。この日は「グラウンドホッグデー」と称された有名な行事である。

『恋はデジャ・ブ』は、このグラウンドホッグデーを題材としたお話。主人公はひねくれた天気予報士のフィル(ビル・マーレー)。本作で彼は例年同様グラウンドホッグデーの名所であるパンクサトーニーを訪れ、無事取材を終える。ところが不思議なことに、翌朝6時になるとなぜやら世界は昨日終えたはずのグラウンドホッグデー(2月2日)に巻き戻ってしまう。これが一度きりの夢ならまだしも、観ている側まで「もうそろそろ解放してあげてぇ〜」と悲嘆してしまうほど、あくる日もあくる日も原因不明にグラウンドホッグデーが繰り返される。本編では特記されていないが、監督のハロルド・ラミス曰く、フィルの2月2日滞在期間は、約8年8ヶ月16日にも及んだそう。

知り尽くした一日を繰り返すのは無意味のようにも思えるけど、少し行動を変えるだけでまた違った一日が送れると思うとなかなか面白い。それに朝6時にはすべてリセットされると思えば、非行にだって走り放題である。

フィルはというと、最初のうちは自殺や強盗を試み、やる気のない報道をしたり、ループを利用したデートを企てたりと自分中心の行動にばかり出るが、グラウンドホッグデーを繰り返すごとに少しずつ自分から相手へ軸をシフトするように。たとえば前までは無視していたホームレスに食べものをご馳走してあげたり、以前まではなんの気配りもしなかった報道チームに差し入れを持って行ったり。最終的には、このような思いやりこそが彼を2月3日へと導く鍵となる。

それにしても、8年も偽の時間をかけて思いやりを育むだなんてちょっぴり贅沢すぎやしないか。一日を8年も繰り返せない私たちは、一刻も早く周りにやさしくできる人間になりたいところである。イライラが募ったときには、よく効く映画です。

(文/鈴木未来)

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