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娘から母へなる歓びを叫ぼう『マンマ・ミーア!ヒア・ウィー・ゴー』

『マンマ・ミーア! ヒア・ウィー・ゴー』 絶賛公開中!

世界中で異例のロングランとなったミュージカルを映画化し爆発的なヒットとなった『マンマ・ミーア!』の続編が10年という歳月を経てスクリーンに帰ったきた。

前作では母のドナ(メリル・ストリープ)の昔の恋人3人を娘のソフィ(アマンダ・セルフライド)が自分の結婚式に招待し、誰が自分の本当の父親かを知ろうと画策する物語であった。
本作では母との夢であったホテルのオープン目前にソフィの妊娠が発覚。母になる喜びと戸惑いや不安を抱えるソフィと共に「パパ候補」の3人と母親の間に本当は昔どんなことがあったのかが描かれる。

『マンマ・ミーア!』という作品を語るうえで欠かせないのは作中で流れる楽曲の数々。
ABBAの名曲が流れるたびに心が躍る。どこかで耳にしたことのあるような有名な曲も多く使用されている。
前作を観ていないという人もミュージカル映画として十分楽しめる内容に仕上がっている。
だが前作でドナが口ずさんでいた曲の真相がとても豪華なスターの登場で明らかになるなど、前作から観ているとよりいっそう楽しめる要素を含んでいる。
そして過去と現在を行ったり来たりする作品なので登場人物の把握をするためにも時間があれば前作をみてからの鑑賞をお勧めしたい。

母ドナが一人で自分を産んで育ててくれたことを自身が母になるときにソフィはどのように受け止めるのか。「ママは私のために強くなった」という台詞がとても心に響いた。
母親目線から娘がそのことに気づいてくれるようになるまで成長したことに胸が熱くなる。
母親になることは自身の弱さを知り乗り越えそして強くなることの繰り返し。
妊娠や出産、子育ては動物が何度も皮を破って脱皮し大きくなるそのような作業に似ているのかもしれない。子育てをしていく中で何度も心の殻を破って一人の女から母親という存在に子供の成長と共に少しずつ着実に母親も成長していくのかもしれない。
ドナとソフィはそんなことを感じさせてくれるとても素敵な親子なのだ。
美しい海に囲まれた素敵な島で起こるドラマを大きなスクリーンで楽しみたい。

(文/杉本結)

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『マンマ・ミーア! ヒア・ウィー・ゴー』
絶賛公開中!

監督・脚本:オル・パーカー
出演:メリル・ストリープ、ピアース・ブロスナン、コリン・ファース、ステラン・スカルスガルド、ジュリー・ウォルターズ、ドミニク・クーパー、アマンダ・セイフライド、クリスティーン・バランスキー、リリー・ジェームズ、ジョシュ・ディラン、ヒュー・スキナー、ジェレミー・アーヴァイン、アレクサ・デイヴィーズ、ジェシカ・キーナン・ウィン、アンディ・ガルシア、シェール
配給:東宝東和

原題:MAMMA MIA! HERE WE GO AGAIN 
公式サイト:http://www.mammamiamovie.jp/
(C)Universal Pictures

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