セクハラ問題の名優ケヴィン・スペイシーが最後に遺した(とはなってほしくはない)コメディ作品『メン・イン・キャット』
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昨年映画界を震撼させ、今年もまだ尾を引いている「セクハラ問題」。大物プロデューサーであるハーヴェイ・ワインスタインのセクハラ行為が発覚したことを皮切りに、ケヴィン・スペイシー、ジェームズ・フランコ、ダスティン・ホフマン、そしてモーガン・フリーマンなど様々な名優がセクハラ行為を暴露され、大きなニュースとなりました。
特に『ユージュアル・サスペクツ』や『セブン』で悪役の地位を確立していたケヴィンの騒は、サスペンス映画ファンにとってかなり衝撃だったのでは。あの一癖も二癖もある彼の演技がこれから先見れなくなってしまうのでは......そんなの悲しすぎる! そう思い、彼が2016年に出演した猫コメディ『メン・イン・キャット』を鑑賞してみました。ちなみに昨年公開した『ベイビー・ドライバー』の前の出演作となり、その後、彼は新作映画やドラマを次々と降板しているため、もう彼の新作は見られないかもしれません。(泣)
大企業の社長トム(ケヴィン・スペイシー)は、仕事が大好きで家族のことなんて後回し。傲慢な性格のトムは、娘の誕生日に苦手な猫を嫌々購入します。そして帰り道、ビルの上から転落! 目がさめると、なんとトムは猫になってしまっていたのです。トムの意識が猫の中に入ってしまい、実際のトムは昏睡状態に。トムが命を落としてしまう前に意識を元の体に戻そうと、猫のトムが奮闘しますが......といったありきたりな内容。
原題は「Nine Lives」。英語のことわざ "A cat has nine lives."(猫は九生を持つ=簡単にくたばらない強運の持ち主)から名付けたそうです。ちなみに "Nine Lives"は「しぶとい」という表現でスラングでも使われるのだとか。そんな「しぶとい」猫であるトムは、あの手この手を使って自分が人間のトムだと伝えようとします。その中で、トムは家族との愛に改めて気づかせられるという感動ストーリー。猫のトムが必死に棒にぶら下がったり新聞を読んだりするシーンは萌えますし、単なる「猫映画」としても癒されること間違いなし。
傲慢な一人の男が、とあることをキッカケに自分の態度などを見直していく。今のケヴィンにとってみれば、なんとも皮肉に満ちた内容ですが、ケヴィン本人にもこの猫のようにしぶとく映画業界にしがみついてほしいものです(もちろんセクハラは大反対ですが)。
(文/トキエス)