もやもやレビュー

瑞々しい青春に、若さの美しさを見た『キングス・オブ・サマー』

「THE KINGS OF SUMMER /キングス・オブ・サマー」 ブルーレイ 日本版(日本語字幕)
『「THE KINGS OF SUMMER /キングス・オブ・サマー」 ブルーレイ 日本版(日本語字幕)』
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ちょくちょく私が顔を出している職場に、例年同様ぴちぴちの新卒ちゃんがやってきた今年の4月。いままではずうずうしく同い年みたいな感覚で接していたものの、今年はなんだか心持ちが一変して「かわいくてしょうがない」というおばさん目線で彼らを見ていることに気がつきました。ああ、あの初々しさは大学卒業したてのものに違いない!なんてひしひしと感じてしまったのです。何が言いたいかというと、若いってやっぱり素晴らしい。そう感じさせてくれた一作が『キングス・オブ・サマー』。

近年では『キングコング・髑髏島の巨神』の監督としても知られるジョーダン・ヴォート=ロバーツのデビュー作である本編から滲み出るのは、ピカピカの青春です。ある夏休み。親との生活に嫌気が刺したジョー(ニック・ロビンソン)、パトリック(ガブリエル・パッソ)、ビアジオ(モイセス・アリアス)の高校男子三人が、家出を計画します。それもただ家を出ていくだけではなく、自分たちの手で森に家を建てて、そこに移り住むという最高なDIY計画を実現してしまうのです。そうして簡易と呼ぶには立派すぎる家での新生活がスタート。池に飛び込んだり、丸太を太鼓代わりにして音を鳴らしたり、焚き火をしたり...都会暮らしなだけに、自然と思いっきり戯れるシーンには憧れを抱きます。

でも、もちろん事件もあります。ある日、ニックは本命のケリーちゃんを男3人の秘密基地に誘いますが、ケリーちゃんが惚れるのは残念ながらニックではなく、大親友のパトリック!と、惜しくも失恋。ニックはかなりのダメージをくらい、ふたりの友情に亀裂が入り...。でも、そうやっていじけても「まだ子供なのよ」と流してもらえるのが、若さの特権だったり。

とうとう「子供なのよ」では失敗を流してもらえなくなったとしても、自由奔放さや、「私にはなんでもできる!」という根拠のない自信を忘れちゃいけないと教えてくれた、夏の王様たち。丸太を叩けばきっと戻ってくる。そんな気がしています。

(文/鈴木未来)

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