ふたりっきりの会話に緊張するなら裸になれ!『バスルーム裸の二日間』
- 『バスルーム 裸の2日間 [DVD]』
- マリア・バルベルデ,ホセ・サクリスタン,レオノール・ドロリゲス,デヴィッド・トルエバ,デヴィッド・トルエバ,マリア・バルベルデ
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あまり親しくない人とのふたりっきりの時間。ドキドキ、ソワソワ。なにを話そう。笑顔を投げかけたら話しやすくなるかも...いろいろ考えているうちに、だんだん喋りたくなくなってくる。どう思われたっていい、私はしゃべらない! なぜやら意地を張りはじめて、最終的に「ああしゃべればよかった...」と冷静に後悔するのである。要は人見知りというか、シャイというか、その類である。
デヴィッド・トルエバ監督のスペイン映画『バスルーム裸の二日間』は、ジャーナリズムを専攻する大学生のアンヘラ(マリア・バラベルデ)と、彼女が尊敬する新聞コラムニストのミゲル(ホセ・サクリスタン)が、ひょんなことからバスルームに、しかも裸で、閉じ込められてしまうお話。映画の8割型はバスルームで繰り広げられ、衣装は裸である。
服を着ていてもふたりっきりという設定にドキマギしちゃうのに、そこまで親しくない人と裸でふたりっきりなんて、考えるだけで少々恐ろしい。でも本編で繰り広げられるふたりの裸トークの内容は、案外普通(つまり想像するほどいやらしくない)。終始アンヘラにまわりくどくセックスのお誘いを投げかけるミゲルの奮闘を除けば、家族や自分たちの現状、書くことについての話が交わされる。たとえば外で会っていたら、口にしないような話までポロポロ出てくる。もちろん閉じ込められているから話すほかないのだけれど、終盤あたりでは、すべてを開放した「裸」という姿こそが、ふたりの気を緩めたのだという結論に勝手に満足していた。
そこまで親しくない人と二日間裸でときを過ごしたら、少しくらいは他人への気の緩め方が学べるかもしれない。なんていいながら、実際にこんなシチュエーションになったらけっこう怖気付いちゃう気がします。
(文/鈴木未来)