もやもやレビュー

鬼畜で外道なボッタクリ『メタルマン』

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 どんな低予算な映画であっても「何か表現したい」程度の志はあるものだと思っていた。どう見てもビジネス全開で、客から金を巻き上げることしか考えていないような作品であっても騙す程度のクオリティは存在していたように思う。しかし本作はエンドロールに流れる映像だけ無駄にちゃんとしていて本編がクソという、スポンサーから金を巻き上げて利益を上げたに違いないと確信する作品になっている。控え目に評価しても鬼畜で外道。上映した映画館が焼き討ちされず日本でDVDが発売されたことが信じられない。

 パワードマスクを開発する博士のもとで働く主人公は実験でマスクを被らされる。実験中に研究所が襲われる。博士が死に、襲撃した組織を追い殲滅させハッピーエンド。

 大まかなあらすじだとアクション映画のテンプレのようだが、肉付けが酷い。まず、このマスクは2度と脱げない。そもそも実験中に死ぬ危険性があった。このデメリットについて博士は何の説明もしていない。
マスクには博士の人格をコピーした人工知能が搭載されているが、マスクの性能について主人公が訊ねると「私も知りたい」と一言。開発者が何を作っていたか分からないもの(しかも脱げない)を被せて投げっぱなしとは随分な外道である。ついでに主人公も主人公で移動の際は路上の車両を盗んで走り出す。ただの盗人である。

 作品の品質は一貫して酷い状態なので、ダラダラしたアクションやチープなコスチュームなどは些末なことに思えてくる。序盤から没入を拒否する作りに脱帽だ。
 惨状といえる状況をどう着地させるのかと別方面から期待していると、敵役のボスが自らマスクを被るなり灰になって死亡。「冒頭の危険性はこの伏線だったのか」と思うだけの気力体力ともになく、カタルシスも何も得られず終了。
 エンドロールでは飛べない設定の主人公が背中から火を噴いて空を飛んでいる。プレゼン用映像なんだろうなぁ程度の感想しか出てこない。客も出資者もぼったくられたことを痛感するには十分だ。

 パチモン映画にクオリティや志という高尚なものを求めることに無理があることは承知している。監督がデヴィッド・S・スターリングだし。作品よりも「映画業界の闇は深いなぁ」と、ほぼ詐欺がまかり通る状況にため息が出る。
(文/畑中雄也)

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