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天才詐欺師のあの手この手『Catch Me If You Can』

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レオナルド・ディカプリオ,トム・ハンクス,クリストファー・ウォーケン,マーティン・シーン,スティーブン・スピルバーグ,フランク・W・アバグネイル,スタン・レディング,スティーブン・スピルバーグ,ウォルター・F・パークス,ジェフ・ナサンソン,レオナルド・ディカプリオ
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悪に強ければ善にも強し、という諺がある。極悪人がいったん改心すると、かえって驚くほどの善人となるという意味で、一念を込めて物事を行えばできないことなどないという事の例えとして用いる。かつて、この言葉をまさに地でいくひとりの男がいた。その名はフランク・W・アバグネイル・Jr。そして彼の自伝小説『世界をだました男』を原作に製作されたのが、2002年公開の映画『Catch Me If You Can』である。

レオナルド・ディカプリオ演じるフランクは頭の切れる詐欺師で、16歳の頃にはその"活動"を始めていたという。その手法は大胆不敵で軽やか、惚れ惚れしてしまうほどの天才的なテクニックを持っている。彼は生涯で少なくとも8回の身分詐称を行った。例えばある時、タダで世界を飛び回りたいとパイロットになることを思いつく。某航空会社の制服をなくしたと電話をし、制服を不法入手。身分証も偽造し、業務中の移動と称して世界26か国を旅する。驚くべきことに、この時まだ20歳にもなっていない。またある時は、大学の教員助手として実際に社会学を教え、医師としても働き、弁護士にもなった。詐欺は逮捕されるまで続くことになる。

一体誰なんだ、フランク・アバグネイルとは。もはや、どの姿が本物でどの姿が偽物なのか、境界線まであやふやになってくる。そんな男なものだから、逮捕されても一筋縄でいかないのは想像に易いだろう。フランクを執着的に追い続けるFBI捜査官カール・ハンラティをトム・ハンクスが演じる。逃走劇の末、どんな風に善人への道を歩み始めるのか、ぜひ劇中で確認してほしい。

(文/峰典子)

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