もやもやレビュー

うだつの上がらぬ男女を見守る『メニルモンタン 2つの秋と3つの冬』

メニルモンタン 2つの秋と3つの冬 [DVD]
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今年もとてつもないスピードで進んでいる。ついこの間お正月ではなかったのか、とうに桜は散ってしまったし、GWだって終わり、脳みその半分で夏休みのことを考えたりしている。『大人になると、なぜ1年が短くなるのか?』(一川誠、池上彰/宝島社)という本によると、人間は空間が広いほうが時間がゆっくり流れているように感じるのだという。子供は身体が小さいから世界が大きく感じる。だから、時の流れも遅い。私たちも海や山に行くとまったりとした独特の感覚を味わうはず。あれって嘘じゃなかったんだ。

また、代謝の良し悪しも大きく関わってくる。概念を省いてお伝えすると、子供は代謝がいいため時間が長く感じる。大人になると代謝が落ち、あっという間に時間が過ぎていく。疲れた土曜日、大したこともしてないのに午後になってしまうのは、そういった理由もあるようだ。1年をもっと長くしたいなら、ルーティーンだけでなく常に新しいことに目を向けること。刺激を与えることが重要。気の持ちようが大きいから、若い気持ちでいるだけでも多少は違うかもしれない。

『メニルモンタン 2つの秋と3つの冬』の主人公アルマンは、非常に代謝が悪い男である。美大を卒業するも定職につかず、親友バンジャマンとダラダラとしながら毎日を過ごし、とくに......なにもしない。でも33歳の誕生日に彼は誓う。週に二回公園を走ること。タバコをやめること。仕事を見つけること。だって「本当に何か起きないといけない」から。ジョギング中に出会い一目惚れしたアメリ、バンジャマンの新しい恋人カティアも加わって話は進んでいく。4人が過ごした2年間に「何か起きた」のか。画面のこちら側にいる私たちに向けて、まるで日記を読むかのように4人がかわるがわる話かけてくる。これは低予算映画ならではの工夫の一つかもしれないけれど、この演出によって、重いテーマも「ここから先は想像にお任せ」となるため、映画は至ってスムース。インディペンデントな恋愛映画に興味を持った人にオススメしたい作品。

(文/峰典子)

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