"要領のいいヤツ"を非難するより真似してみる!?『ヤング・アダルト・ニューヨーク』
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要領よく生きる人、不器用に生きる人。どちらかというと後者のほうが素敵に見えますが、実は前者だって真似するべき生き方!?かもしれません。
ブルックリンに暮らすドキュメンタリー映画監督のジョシュ(ベン・スティラー)と映画プロデューサーの妻コーネリア(ナオミ・ワッツ)は40代の夫婦。
ある日、アートスクールの講師をしていたジョシュは聴講生の20代の夫婦に声をかけられ、夫のジェイミー(アダム・ドライバー)は監督志望でジョシュをリスペクトしていると語り、その日を境に仲を深めていきます。
ジョシュはジェイミーの映画製作を手伝うことになりますが、自身は妻の父で著名な映画監督・ブライトバートにダメ出しをされ、ここ8年新作を完成させることができずにいました。仕事も妻との関係までもうまくいかなくなっていくジョシュと対照的に、ジェイミーはブライトバートとも親しくなり、映画の出資者まで現れてトントン拍子に話が進んでいくのでした。
ジョシュのようにこだわりを持ったやり方が良い時もあるかもしれませんが、ジェイミーのように目的のためにこだわりやプライドを捨てて努力や行動に移すことも大事。
例えば、昇進したい時は上司の機嫌をとったり、意に反することでもひたすらイエスマンになったり。気の合わないママ友とも、子供のために、親しい付き合いをする努力をしたり。結婚して夫の身内に苦手な親戚がいても、親戚付き合いをうまくやるために、最低限の礼は尽くしたり謙虚な振る舞いに徹したり。・・・そうなんです。要領よく生きることって、意外と修羅の道なのです。
その時はなにくそと思うかもしれませんが、後で思い返すと、我慢したことで得られるものの方が何倍にも返ってくることは往々にしてあるはず。本作を観ると、生き様としてはジョシュの方が誠実に見えますが、要領よく生きるジェイミーから学べることも多しです。
(文/森山梓)