『トランスアメリカ』を観て、生き方を見つめ直してみよう。
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- フェリシティ・ハフマン,ケヴィン・ゼガーズ,フィオヌラ・フラナガン,エリザベス・ペーニャ,バート・ヤング,ダンカン・タッカー,ダンカン・タッカー,フェリシティ・ハフマン
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悩みがあるのが人生です。最近悩んでばかりでやる気も起きないのですが、これが五月病でしょうか。
本作は2005年のアメリカ映画です。
LAで暮らす性同一性障害のブリ―(フェシリティ・ハフマン)は、一週間後に性別適合手術を控えていました。そんな折、ブリ―の元に、拘置所にいるトビーという少年から連絡があります。彼は、ブリ―が17年前にスタンリーという名でまだ男性だった頃に一度だけ関係を持った相手との子供(トビー)だというのです。
想像だにしなかった事実に動揺するブリ―でしたが、やむを得ず、NYにいる息子のもとへ駆けつけます。保釈金を払ってトビーと対面するも、実の父親だと言うことができるわけもなく、教会から来た人間だと偽ります。
母親を亡くしていたトビーを連れ、共にブリ―の運転する車でNYからLAへと向かいます。その道中、様々なことを経ることとなります。
例えば、トビーの継父の家に寄り、トビーが性的虐待を受けていたことを知ったり。道端で用を足すブリ―の姿を見たトビーが、ブリ―がトランスセクシャルであることを知ったり。ブリ―の実家はお金持ちでその豪邸でしばらく過ごすうちに、トビーがブリ―に恋心を抱いたり...。
結局、トビーに自分が父親だと告げることになったブリ―。すると、トビーはショックで家を飛び出し、行方不明になってしまいます。せっかく親しくなった二人でしたが、散々な別れに。そして傷心のままのブリ―は、予定通り性別適合手術を受けます。手術へと向かうブリ―の容姿は切ないようでいて、強い意思を持った芯の強さ、美しさを感じさせる神々しい姿に見えました。
どのような状況下に置かれても、自分の意思を貫くことは素晴らしいこと。それと共に、自分を取り巻く今の環境の中で、自身と関わる物事や現実から逃げず、向き合うことの大切さも本作から学ぶことができます。
(文/森山梓)