恩返しした相手が浮かばない表情をしていたら、観てみよう。『猫の恩返し』
- 『猫の恩返し/ギブリーズepisode2 [Blu-ray]』
- 森田宏幸,百瀬義行
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日向ぼっこをする猫を横目に出勤する朝ほど、猫になりたいと思ったことはないです。
主人公のハルは高校からの帰り道、道路で車にひかれそうになった猫を助けます。その猫が、猫の王国の王子だったことから、王国をあげたハルへの恩返しが行われます。
しかし恩返しといっても、完全に猫目線の恩返しのため、人間にとってはかなりありがた迷惑な内容です。猫じゃらしやネズミやらが贈られてきたり、挙句の果てには、王子の嫁にと請われ猫の王国へと行く羽目に......。
猫はかわいいのでいいですが、大して笑えないありがた迷惑な恩返し、普段の暮らしの中でも往々にしてあるものです。例えば、お祝いを差し上げたお返しが、どう見ても本人の趣味でしかないニッチすぎるものだったり。仕事のピンチを助けたお返しが、ナチュラルに恩を仇で返す感じものものだったり。
もちろん、恩返しですから、相手にまったく悪気はありません。恩返ししてくださって、ありがとう!と素直に感謝できればいいのだけれど、ありがとう(まったく嬉しくねーけど!)としか思えない自分の狭量もダブルパンチになり、なんだか倍返しくらった気分。でも、そういう自分もありがた迷惑恩返し、気付かぬうちにやってると思います。
というわけで、ここは基本に立ち返り。恩返しする前に、相手の立場になってみよう! なんてことを思わせてくれる『猫の恩返し』です。
(文/森山梓)