もやもやレビュー

リチャード・ギアのお姫様抱っこに、素直に胸キュンできなくて辛い。『愛と青春の旅立ち』

愛と青春の旅だち [DVD]
『愛と青春の旅だち [DVD]』
リチャード・ギア,デブラ・ウィンガー,デヴィッド・キース,ロバート・ロッジア,リサ・ブラント,リサ・アイルバッハー,ルイス・ゴセット・Jr.,テイラー・ハックフォード
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父親は酒と女に溺れるクズ、母親は自殺と、トラウマな少年時代を過ごし、人間不信に陥っている主人公ザック(リチャード・ギア)。父親との荒んだ暮らしから脱するべく、パイロットを目指して海軍の士官学校へ入ります。
一方、士官学校のある町の女たちは、将来のパイロットという名の高給取りを射止めて結婚するために必死(ただ基本的には卒業と同時に捨てられてしまう)。ザックとその友達も、町の工場で働く女子たちと付き合うんですが......。

人間不信だった主人公が、人を愛する気持ちを見つけるまでの物語であり、同時に工場勤務のヒロインのシンデレラストーリーでもある本作。結婚なんて考えてなかったはずのリチャード・ギアが、真っ白な制服に身を包んで突然工場にやってきて、ヒロインをお姫様抱っこし結婚を誓うラストシーンに、これまで多くの女子が胸キュン。私もお姫様抱っこさーれーたーい〜!ってなってきたはずです。

しかし。確かにリチャード・ギアのお姫様抱っこの破壊力はハンパないのですが、なぜだか湧いてくる空しさ、腑に落ちなさ。どや顔でお姫様抱っこされてるヒロインを、素直に祝福できないのです。その理由は、もちろん9割嫉妬ですが、残りの1割は工場で働くヒロインの、仕事に対する向上心のなさ(ダジャレ!すみません)に対するおいこら!です。将来稼ぎそうな男に抱っこしてもらってれば、それでいいんかい!と思うわけです。工場の仕事にだって絶対やりがいあるはずなんです。それなのに、抜け殻みたいに働きやがって、この恋愛バカが!と、思う私は、人生で一度もお姫様抱っこされたことがありません。そんなんだから......。
(文/鬱川クリスティーン)

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