もやもやレビュー

リア充の秘訣ここにあり。『舟を編む』

舟を編む 通常版 [DVD]
『舟を編む 通常版 [DVD]』
松田龍平,宮崎あおい,オダギリジョー,黒木華,渡辺美佐子,石井裕也
松竹
商品を購入する
>> Amazon.co.jp
>> HMV&BOOKS

 最近は、西島秀俊に向井理とイケメン俳優の結婚報道が続き、世の女子たちがどれだけのショックを受けたか計り知れません......。でも、男は彼らだけじゃない! 世の中には色々なタイプの男性がいるのです。

 本作の主人公は、馬締(まじめ)光也(松田龍平)という名前で、文字通り性格も超マジメ。務めている玄武書房の営業部では変人扱いで、彼女だって一度もいたことがありません。リア充とは程遠いタイプだったのですが、部署移動になってから変化が起きます。

 移動先は、辞書編集部。新しい辞書の編纂に取り組むことになります。監修の松本(加藤剛)の「言葉の海。人は辞書と言う舟でその海を渡り、自分の気持ちを的確に表す言葉を探す。誰かと繋がりたくて広大な海を渡ろうとする人たちに捧げる辞書、それが大渡海」という言葉に感銘を受けます。そして、大学院で言語学を専攻していた馬締は天性の才能を発揮させていきます。

 さらに、仕事が順調だと私生活まで順調になります。人生初の恋を経験するのです。相手は、馬締の住むアパートの大家の孫、林香具矢(宮崎あおい)です。奥手な馬締は、編集部員達から背中を押されて、ラブレターを書いて想いを伝えようとします。

 職場では変人扱いで猫が親友という、狭い行動範囲で生きてきた馬締。でも、きっかけひとつで人生が一気に充実してしまったのです。

 仕事にも、恋愛にも、人間関係にも、一生懸命になる。当たり前のようで、なんだか難しい。自分のしたいことと違う、相手にどう思われるか自信がない、あの人苦手、etc......とやっぱりどこか不満や不安があるのが世の常、人の常。様々な困難や悩みがありながらも、一生懸命乗り越えていこうとする登場人物たちから学ぶことが多々ある作品です。そうして、リア充への第一歩は、移動願いだ!と強く思った次第であります。
(文/森山梓)

« 前の記事「もやもやレビュー」記事一覧次の記事 »

BOOKSTAND

BOOK STANDプレミアム