【80年代特集！】　横串系チームの素晴らしさ。『アンタッチャブル』

禁酒法時代のシカゴ。酒の密売で荒稼ぎしていたギャングのボス、アル・カポネを逮捕すべく奔走する精鋭チームを描いた『アンタッチャブル』。アル・カポネからの賄賂まみれでズブズブの警察の中に、まさに「横串」で生まれたチームが秀逸です。

主人公は、アル・カポネ逮捕のために、財務省から鳴り物入りで派遣されてきたエリート捜査官のネス。赴任後の初捜査で、早速密売現場を摘発しようとどや顔で乗り込むも、実は警察自体がアル・カポネから買収されており、捜査情報がダダ漏れ。大失敗が新聞で大々的に報道され、署内でも笑いものになってしまいます。

そんなネスの最初のチームメイトになったのが、街で偶然出会った老巡査マローン。いろいろあってパトロールに甘んじてたけど、実は心に熱いモノを持ったキレ者警察官。大先輩ならではの人脈力と名言力でチームに大いに貢献します。

次にチームに入ったのが、マローンの名助言「腐ったリンゴが嫌なら、樽から探さないで、木からもぐことだ」に従って、警察学校で訓練中だったところをスカウトした、新人警官のストーン。採用の決め手は、射撃の腕前はもとより、先輩に媚びない態度と正義感。若くて強くて、しかも抜群に冷静で先輩たちをしっかりサポート。青田買いって大事です。

そして最後が、財務省からの助っ人で、お金に強い経理番長のウォレス。帳簿を武器にアル・カポネを追い詰める、変化球な存在です（でも意外と銃も強い）。違った視点で物事を見られるメンバー、やっぱり一人は必要ですよね。

かくして、部署はバラバラ、でも志は一緒......リーダー、おっさん、若者、メガネと、黄金バランスの横串チームの完成です。『アンタッチャブル』、チーム作りの教科書みたいな映画です。
（文／鬱川クリスティーン）