もやもやレビュー

やっぱり信頼してもらうって大事なんです。『アウトレイジ』『アウトレイジビヨンド』

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 エボラ出血熱がついに日本にも上陸かとヒヤヒヤしました。が、そんなエボラとはまた違う恐怖がありました。北野武監督の『アウトレイジ』(2010年)と、その続編『アウトレイジビヨンド』(2012年)です。

 主人公の大友(ビートたけし)が属すのは関東一円を仕切る巨大暴力団組織、山王会。その山王会の内部抗争や分裂が描かれる本作は、R15+指定でグロいシーンも多々! キャッチコピーに「全員悪人」とあるように見事に善人が登場しません。

 特に印象的だったのが、会長の関内(北村総一朗)が、ナンバー2の加藤(三浦友和)に射殺されるくだり。しかも加藤は別の人間に罪を着せ、会長にのし上がります。そして、大友の部下だった石原(加瀬亮)を誘い、自分の直近にします。

 その変わり身の早さといったらなんの。加藤も石原も自分を世話してくれた人を簡単に裏切ります。でも、そんな風に順序を踏まずに奪い取ったものは、長く続くわけもなく。自分がしたことと同じように、部下たちや裏切った人々によってその地位を奪われ、ついには命までも奪われてしまうのです。

 そんな顛末を目にして。人の上に立つために、何か資格が必要だとしたら、それは周りからの「信頼」に尽きるのだと、当たり前だけど改めて思った次第。信頼関係が築けていさえすれば、のっぴきならない窮地に陥った時にだって、信じてついてきてくれたり、守ってくれる人が必ずいる。足元総崩れ、なんてことにはならないはずなのです。それはなにも暴力団だけに限った話ではなくて、会社でも、友人関係でも然りです。日頃から人に信じてもらえる生き方をしたいものです。

 それにしても、「バカヤロウ」「コノヤロウ」だけでなんとなく成り立っちゃう会話、一度でいいからしてみたいと思いました。
(文/森山梓)

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