自分のイケてなさも、はたから見れば喜劇かも『ファーゴ』
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大学の図書館でのこと、パソコンで某すべらない話の動画を観ていました(勉強しろ)。小藪一豊さんの饒舌な悪口に笑いを噛みしめていると、イヤホンの刺さりが中途半端だったのか、音声がだだ漏れしていたことが発覚。戦慄がはしりました。見事にすべっていました。
吹雪が舞う、冬のミネソタ州ミネアポリス。多額の借金に苦しむ自動車セールスマンのジェリーは、妻であるジーンを誘拐させ、義理の父ウェイドから身代金を奪う「狂言誘拐」を画策。ジェリーはカールとゲアという2人のチンピラを雇い、ジーンを誘拐させることに成功します。一見、首尾よく進むかに見えた計画。ですが、ジーンをさらった道中、ゲアが突発的に殺人から、ジェリーの企みは思いもよらぬ事態へと落下していくことになります。
カールとゲアが起こしていく犯罪は、全部どうしようもないくらい稚拙で短絡的です。失敗が見え見えの選択をかさね、どんどん窮地に追いこまれていく2人と首謀者のジェリー。彼らを見て思ったのは、「人って、愚かだよなぁ」という、あきらめに近い共感でした。冒頭の話も、そもそもへたくそなジェンガのように凸凹に積んでいけば、崩れるのは目に見えていたわけで。そういう愚行って、人ごととして見れば、あんがい笑ってしまう物ばかりのような気がします。発熱するほど考え抜いたデートプランが破滅に終わったことも、範囲を間違えて勉強してたことに、試験開始5分前に気付いたことも。愚かなピンチもはたから見れば、滑稽なコントなのかもしれません!
(文/伊藤匠)