自己主張しないってことも、大事だと思った 『チャーリーとチョコレート工場』
- 『チャーリーとチョコレート工場 [DVD]』
- ジョニー・デップ,フレディー・ハイモア,デヴィッド・ケリー,ヘレナ・ボナム=カーター,クリストファー・リー,ティム・バートン
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個性の時代と言われる現代。ディベートできなきゃダメだとか、何か一芸を持ってた方がいいとか、いろいろと生きにくいことを言われます。でも『チャーリーとチョコレート工場』は囁く。別に自己主張っていらなくね?って。
世界一のチョコレート工場の主、ウィリー・ウォンカ(ジョニー・デップ)が、初の工場見学ツアーを企画。参加できるのは、ウォンカ製チョコレートに封入されたゴールデン・チケットをゲットできた、たった5組の子どもと保護者のみ。デブの少年、金持ちわがまま少女、一番にこだわる少女、かわいげのないおたく少年と、個性的な面々がチケットをゲットしていく中、最後に幸運を手に入れたのは貧乏でこれといって特徴のない男の子・チャーリー。そして見学ツアー当日、夢のような工場に足を踏み入れた子どもたちは、次々と残酷なお仕置きを受けることに・・・!
自己中でいけすかない奴らがどんどん痛い目に遭っていく、非常にわかりやすい勧善懲悪な物語。チョコレートの川、キャンディの草原、マシュマロきのこ・・・ポップでかわいいんだけど、その極彩色の色合いが猛毒感&罪悪感を感じさせる工場内の風景が見事です。そして、そんな環境に大興奮して調子に乗り、ますます自己中を炸裂させる子どもたちとその親。自己主張の激しい彼らが次々と脱落していく中で、後ろの方でおじいちゃんと一緒にぬーっと立ってただけのチャーリーが、最後には美味しい思いをするのです。
自己主張が激しい集団の中では、むしろ気配を消して突っ立っているだけの方が得する場合がある。個性の時代を生きにくく感じているみなさんを、勇気づけてくれる一作です。
(文/鬱川クリスティーン)