『しあわせの隠れ場所』を観て、「情けは人のためならず」が腑に落ちた。
- 『しあわせの隠れ場所 [DVD]』
- サンドラ・ブロック,クィントン・アーロン,ティム・マッグロウ,キャシー・ベイツ,リリー・コリンズ,ジェイ・ヘッド,ジョン・リー・ハンコック
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むかし何かの本で、「登山で苦しくなった時は、隣の人のバックを持ってあげると、不思議ともうひと踏ん張りできるようになる」とい一文を読んだことがあります。他の人の荷を背負ってあげることで、「自分のためだけ」以上のパワーが出てくるから。そんな風な理由だったと記憶しています。
本作は実在するNFLのプロ選手である、マイケル・オアーの体験がもとになった物語です。経営者の夫、娘と息子の4人という幸せな家庭をいとなむ夫人のリー・アン(サンドラ・ブロック)。順風満帆な生活を送る彼女の前にあらわれたのが、真冬の夜、雨に濡れながら歩く黒人の少年、マイケル(クィントン・アーロン)でした。彼を見過ごせなかったリー・アンは、そのまま家へと連れて帰ることに。話を聞くなかで彼の境遇を知ったリー・アンは、マイケルを一家へと迎え入れることを決意します。家族同然に部屋や服、そして学校へ行く機会を与えられたマイケル。恵まれた体格とともに、アメリカンフットボールの才能を見いだされたことで、マイケルの人生は大きく変化していくことになります。
本作が教えてくれるのは「他人のためだからこそ、人は力を発揮できる」ということです。作中、はじめて参加したフットボールの練習になじめないマイケルにリー・アンがかけた「家族だと思って、チームを守りなさい」という言葉。マイケルの才能が開花するきっかけとなったシーンです。そして、彼と一緒に暮らすなかで、「家族として、ふつうに暮らせることの有り難さ」を、より感じ取っていくリー・アンたち。
すこし道徳的すぎる気もしますが、与えたり、助けたりすることは、自分がなにかを貰っていることでもある。そういうシンプルなことを伝えてくれる作品です。ちょっと人間関係に疲れていたり、心がかさついている時に、ぜひ。
(文/伊藤匠)