もやもやレビュー

新年は『すーちゃんまいちゃんさわ子さん』でリアルな三十路女子の心の声を知ることから始めてみる。

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 暇なお正月休みにレンタルショップで手にした『すーちゃんまいちゃんさわ子さん』。初めこそ新年早々から三十路女子のリアルな悩みにブルーな気持ちになりますが、観終わると360度違う感想を抱ける本作です。

 益田ミリ原作の4コマ漫画『すーちゃん』シリーズを、ドキュメンタリーなども手掛ける御法川修監督が映画化(2013年公開)。かつてのバイト仲間のすーちゃん(柴崎コウ)、まいちゃん(真木よう子)、さわ子さん(寺島しのぶ)は10年来の友達です。

 すーちゃんは、料理が好きでカフェ勤務を10数年しています。数年恋愛から遠ざかっていますが、職場のマネージャー(井浦新)が気になっています。まいちゃんはOL。既婚者と不倫をしています。在宅でWEBデザイナーをしているさわ子さんは、母親と二人で祖母の介護をする日々です。

 ひとり暮らしをする娘の元に母親から将来を心配する電話がかかってきたり、うまくいかない恋とも言えない片想いをしたり。三十すぎても独身であるがために職場の上司や後輩からは嫌味を言われ、不毛な恋愛、ボケてしまった祖母の介護などなど、現代社会を生きる女性ならもしかしたら誰しも経験しそうな悩みがとてもリアルに描かれています。

 三十路の筆者には身につまされることばかり。それでも目の前の悩みを投げ出さず少しずつ傷つきながらも懸命に生きる三人。その救いは、美味しい食べ物だったり、友情であったり。食べ物でも友情でもそこに見返りがなくても、(食べ物が励ましてくれるはずもないし、友達がそのとき必ずしも欲しい言葉を言ってくれたり自分にとって正しい答えをくれるわけでもないし)それでいいんです。おいしさが悩みや心の傷をひと時でも忘れさせてくれたり。友情が人のぬくもりとなって孤独さを一瞬でも拭い取ってくれたり。

 そうしたささやかな幸せが日々を生きる原動力となって、辛くても生きていけるんですね。遠い未来だけのために今を決めすぎなくてもいいんだと、この映画は教えてくれます。女性の皆様、面倒くさいと言われようとも今年もたくましく生きていきましょう。男性の皆様、本作で三十路女子への理解を深めてモテ男を目指してみてはいかがでしょう。今年もあなたにとって良い年になりますように!

(文/森山梓)

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