もやもやレビュー

『台風クラブ』を観て、ちょっとだけ、思春期のころに戻りたいと思った。

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 今年は台風が多いですね。台風、自然災害なんだけど、こころのどこかで、ワクワクドキドキした記憶はありませんか? とくに小学校や中学校などの思春期に。街や家が停電したり、学校が休校になったり、真っ暗闇だけど、窓の外では風がビュービューいってたり・・・。気圧の変化で体がそわそわしたり。そのとき初めて、僕らは非日常というものを意識するのかもしれません。そんなことを思い出させてくれるのが、今日、紹介する85年の相米慎二監督作品『台風クラブ』です。

 舞台は中学校。台風の襲来によって、思春期真っ只中の中学生たちは、徐々に狂気を帯びていきます。台風が直撃しているさなかに学校に忍び込んで、大雨のなか服を脱ぎ出して、踊ったり、生と死について考えたり。あの台風が来たとき独特の、意味もなくテンションが上がる感じをこれ以上ないほどうまく表現しています。また主役の中学生役の工藤夕貴が注目されたきっかけとなった作品でもあります。

 大人になった僕らは、もう台風が来たところで、普通に出勤しなければならないし、あの気持ちが蘇ってくることはなかなかないです。毎日の生活のちょっとしたスパイスにもならないかもしれません。

 でもあのときのなんとも言えない気持ち、ちょっと懐かしくないですか? 僕達はそこに大切な何かを置いてきてしまったのかも、と考えたりもするのです。でも辛い思い出が多すぎるから戻りたくはないけど。

(文/神田桂一)

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