映画『時計じかけのオレンジ』を観て、音楽の重要さを知る。
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スタンリー・キューブリックのSF三部作、『博士の異常な愛情』『2001年宇宙の旅』に続いて最後の作品になるのがこの『時計じかけのオレンジ』です。
主人公・アレックスは仲間を從えて、夜な夜な暴れる悪ガキ。窃盗、レイプなどやりたい放題。そんなアレックスに転機がおとずれて・・・という内容です。
この作品、見る人を選ぶ映画でもあります。なぜなら、暴力シーンがかなりの頻度で出てくるから。そういうのが苦手な人はやめておいたほうがいいです。公開当時、イギリスでは規制がかけられたほど。
でも、あえて言わせてもらえたら、この映画の見どころは、その暴力シーンなんです。
暴力シーンのときは、必ずBGMがあります。『泥棒かささぎ』『威風堂々』『第九』など主にクラシック。その音楽がじつに映像にマッチするんですよ。暴力シーンを美しいと思ってしまったのはこの映画だけです。
例えば、食べ物を食べるとき、人は舌と匂いで判断しているそうです。鼻をつまむと何を食べているかわからなくなるように、映画の場合も、音楽を変えるだけで、そのシーンの持つ意味がまったく正反対になることもあります。
そんな、映画における音楽の重要性を改めて実感できる映画です。
(文/神田桂一)