もやもやレビュー

『ゴーストワールド』を観て、つべこべ言わずに働こうと思った。

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夏バテを理由に、ドタキャンできる夏が好き。夏を共に過ごす人がいない、そんなダメ人間にこそ観てほしいのが、今回ご紹介する『ゴーストワールド』です。

高校を卒業したばかりのイーニド(ソーラ・バーチ)とレベッカ(スカーレット・ヨハンソン)。カフェに就職し、自立を目標に生きるレベッカに対して、進学も就職もせずふらふら過ごすイーニド。やがて、親友同士だった2人は少しずつすれ違い始め...という、胸の奥がキュッとする青春映画。ですが、観賞後は働かずにはいられない心境になりました。

 世の中すべてを否定して生きるイーニド、はじめのうちは自由を謳歌していましたが、徐々に居場所を失っていきます。映画館に就職するも初日でクビ、問題を起こしてアートスクールの推薦も取り消し、唯一の理解者だと思っていたオタクのシーモアとの恋もうまくいかず、父親が再婚し家にもいられなくなって、果てはレベッカと大ゲンカ。社会との接点が何一つない、八方ふさがり状態に。こんなことなら、おとなしくさっさと次の仕事を見つければよかったのかも...。

常識や型にとらわれないイーニドの生き方は、いまでこそ「フリー」や「ノマド」と呼ばれ、憧れの対象なのかもしれません。だけど「自由」でいるためには、すべての責任を自分で背負うという、「重さ」があります。判断一つでも間違えば、足を踏み外すなんて容易いこと。その重さに耐えられない私のようなへなちょこ人間は、自由に憧れるにはまだまだ早いんだな、と思わされました。

 そしてネタバレ御免で書いてしまうと、イーニドは最後、死んだはずの老人と一緒に廃線になったはずのバスに乗って、夜の街に消えていきます。このラストシーン、さまざまな解釈があるのですが、自殺の比喩とも取れるんですね。働かない=孤独死直結ってことに気付き、めちゃくちゃ怖くなりました。そうならないためにも、真面目に働いておこうと決意した次第。

 と、いかにも真っ当ぽいことを書いてみましたが、私が労働意欲を掻き立てられた本当の理由はただ一つ。社会人になったレベッカが、どんどん可愛くなっていってたことです。カワイイは買える! 働きます。

(文/ペンしる子)

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