もやもやレビュー

理屈なしの人生を生きてみよう。『人生万歳!』

人生万歳! [DVD]
『人生万歳! [DVD]』
ラリー・デヴィッド,エヴァン・レイチェル・ウッド,パトリシア・クラークソン,エド・ベグリーJr.,ヘンリー・カヴィル,ウディ・アレン,ウディ・アレン,ラリー・デヴィッド
アルバトロス
商品を購入する
>> Amazon.co.jp
>> HMV&BOOKS

 突然ですが、皆さんは万歳!と言えるような人生を歩んでいますか? 今回ご紹介したい映画は、ズバリ『人生万歳!』です。ウディ・アレン監督の記念すべき40作品めだそうです、わっしょい!

 主人公のボリスは、自分を嫌な奴だといってのける孤高の元・天才物理学者。新年を迎えたタイミングで、「新年を祝うのは嫌いだ。誰もが必死で楽しもうと無理やり祝ってる。何を祝う? 墓場に近づくことか?」とか言っちゃう超偏屈なおじいさん。そんな彼の周りに集まった人たちの巻き起こす、びっくりするくらいハッピーなお話です。

 ニューヨークに住むボリスは、田舎町から家出してきた若い女性メロディをいやいやながらも数日間泊めてあげ、年齢も知能指数も全く違う彼女に惹かれて結婚します。一方、愛する娘の後を追ってメロディの両親も相次いでニューヨークにやってきますが、そこでそれぞれに違う相手との恋愛を経験し、これまでの価値観が大きく覆されます。母親は二人の男性との同棲生活を送り写真家として目覚め、父親はゲイとして目覚める。そして、メロディもボリスも結局また別の相手との恋愛に落ち着きます。
 
 誰にでもきっと、理想の恋人や結婚相手がいるはず。そんな人と出会えたら、たぶん幸せで。でもこのお話は、理想とはまったく違う、思ってもみない人こそ案外ハマるんじゃないかと教えてくれます。

 最後のシーンで、ボリスが観客と見立てた私たちに向けて発する言葉が印象的です。「あなたが得る愛、与える愛、あらゆる幸せは全てつかの間だ。だからこそうまくいくなら"何でもあり"だ」。

 きっと人生は理屈じゃないんです。難しく考えるより、感情に素直になればもっと単純で楽しくてハッピーなものになるんじゃないでしょうか。と自分に一番言ってやりたいです。全然関係ないけど、『燃えよドラゴン』にある「考えるな、感じろ」を思い出し、ブルース・リーをなぜだか無性に観たくなってます。

(文/森山梓)

« 前の記事「もやもやレビュー」記事一覧次の記事 »

BOOK STANDプレミアム