ムチャする父を静かに見守る息子をリスペクト。『人生はビギナーズ』
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皆さまごきげんよう。昨今の激しすぎる気温差に風邪をお召しになったりされていませんか。私はシッカリひいてしまい独り住まいの心細さを噛みしめ、涙目の数日間でした。どうか皆さまもご自愛ください。
『人生はビギナーズ』は主人公のお父さんが75歳にして突然、ゲイであることをカミングアウトするところから始まります。
既に妻は亡くなっていることもあり、これからは恋愛を精神的にだけでなく「実践」していきたいと朗らかに宣言する父。その後、彼は末期のがんであることが判明するのですが、ボーイフレンドと過ごし、ゲイ仲間とのサークルに参加し、ボランティアにショッピングにと38歳の息子が圧倒されるほど精力的に人生を謳歌します。その姿はあっぱれです。
自分だったら「もうお父さん、病気なんだから若いボーイフレンドにうつつを抜かすの止めて寝ててよー」と全力で止めてしまいそうですが、主人公のオリバーは父の告白に戸惑いつつも「病気だから」と制約をせずに温かく、ちょっとおずおずと見守ります。その姿からは静かな愛情が伝わってきて胸を打たれます。
自分の大切な誰かが、自分の予想を上回る何かをしようとした時に素直に応援できるかどうかで自分の器の大きさみたいなものが見えるようです。
一流大学を辞めて起業する、とか。危なそうな国に女性が一人で旅に出る、とか。貯金も無いのに会社を辞める、とか。生きているといろいろな場面に出くわします。
無責任に「へー。がんばってよ」と言うのはカンタンですし、心配して「リスクが大きいから止めておきなよ」と言うのも相手のことを思っている場合もあれば、実のところは自分が何も被りたくないという無責任さの表れという場合もある。
相手を信頼して、何かあったらできるサポートはするよ、という大きな気持ちで応援できる。そんな素敵な人になりたいぞと、控え目だけれどグッドハートなオリバーから学んだのであります。