もやもやレビュー

きょうだいってムカつく。でもやっぱおもしろいかも。『ダージリン急行』

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 皆さまごきげんよう。LINE POPは右手の人差指一本で勝負するものと思っていましたが、両手を駆使してスパスパスパン!と超速で消していく人を目の当たりにし吃驚している今日この頃です。

 ところで皆さんには兄弟姉妹はいらっしゃいますか。『ダージリン急行』は中年3人兄弟がインドを走る列車内に久々に集合し、旅がスタートするところから話が始まります。旅の言いだしっぺである長男は顔が包帯だらけだし、妻の出産を目前に控えた次男は頭痛がすると言っては怪しげなインドの薬をガンガン飲みまくり、三男は元カノを電話ストーキングしている始末。

 互いにうっすら不満・不信を感じつつも旅が進むなか「死んでしまった父は兄弟のうち誰を誇りに思っていたか?」という問題でついにそれらが露呈、兄弟ゲンカに発展し、三人は列車を降ろされてしまいます。そこで三男のジャックは砂漠の真ん中でつぶやきます。「僕たちは友だちになれたかな?兄弟じゃなく、人間同士として。」いい大人なんだからクールに構えて、相手に優しくありたい。だけど身内だからこそちょっとした言動が許せなかったりする。けれどもあっさりとは縁が切れない。だったら時にはケンカしてでも、ぶつかり合って本心をさらけ出して理解を深めていった方が賢明なのかもしれません。インドが街なかの猥雑さと寺院や郊外の静謐さを併せて持ってこそのインドであるように、ムカつくことも多いけど、列車を降ろされた時の抗議の手段が三人ともまったく同じだったり、長男のイラっとする言動は完全に母譲りであることが判明したり、やっぱり兄弟っておもしろいことも多いのです。

 今は許せない身内のちょっとした言動も、いつか笑えるようになるとしたら・・・結構、儲け物かもしれませんぜ。

(文/小野好美)

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