『脳内ニューヨーク』に学ぶ、セルフプロデュースの始め方。
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皆さまごきげんよう。お花見の誘いも特になかったので『脳内ニューヨーク』を観てみました。
神経症の舞台演出家・ケイデンは自分自身と人生すべてを舞台にブチ込むという荒技で人生の再構築を図ります。ケイデン本人とケイデン役の役者。アシスタント本人とアシスタント役の女優。実在のNYと舞台セットとしてのNY。こんな風に人生と舞台が二重になって時には混じり合いますので、観ている方は混乱しますし、ケイデン自身も自分を演じる役者に自分を好きだったはずのアシスタント(本人)を寝取られてみたりと混迷を極めていきます。
しかしコレ、うまくすると社会をサバイブするのに有効な手段かもしれません。よくビジネス書などで謳われる「自分自身を会社だと思って、その経営者になろう!」という主張と同じと言えば同じノリです。
もっとイキイキと輝いて、誰からも好かれて、仕事のお声掛けもひっきりなしで・・・なんていうもう一人の「イケている自分」をこっそり夢想しがちな私たち(特にビジネス書なんて読んでしまった日には)。ケイデンはありのままを舞台に持ち込もうとしますが、もし私たちに自分を演じてくれる役者さんがいて、それを演出できるとなったら、間違いなく自分よりキレイor男前でスタイルも良い役者さんに実際よりステキなライフスタイルを演じてもらうのではないでしょうか。
残念ながら私たちは自前の役者・自分自身を使って人生を構築していかねばなりませんが、時にはそれまでの自分や他人の目からハミ出して、もっと自由に、好きなように演出して自分を解放してみてもいいのかも?
(文/小野好美)