もやもやレビュー

非リア充も楽しめるミュージカル映画『ダンサー・イン・ザ・ダーク』

ダンサー・イン・ザ・ダーク(Blu-ray Disc)
『ダンサー・イン・ザ・ダーク(Blu-ray Disc)』
ビョーク,カトリーヌ・ドヌーブ,デビット・モース,ピーター・ストーメア,ラース・フォン・トリアー
松竹
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 救いのない映画が好きです。友達がいないから言えるんですけど、人生、そんなハッピーエンドばかりで終わることなんてありません。カタルシスなんてないことのほうが多いんです。友達がいないからわかります(2回目)。そんな、人のことを思える人になろうと思います。

 今日紹介する映画は『ダンサー・イン・ザ・ダーク』。この映画、はっきりって何の救いもないです。暗い映画です。鬱映画の代表作といえるでしょう。ストーリーは悲しいです。ビョーク演じる主人公セルマは先天性の病気でいずれ失明する運命。愛する子どもがひとりいるのですが、子どもも遺伝でいずれ失明する運命にあり、手術が必要です。子どもの目を手術させるためにセルマは必死に働いてお金を貯めています。でもそのお金が盗まれてしまうんです。そしてさらなる悲劇が・・・。

 でもなぜか観終わったあと明るい気持ちになるのは、ミュージカル構成になっていて、それをまたアイスランドの歌姫・ビョークがやっているからまったく違和感がないんですよね。ミュージカル映画ってなんか無駄に明るくて、しかも急に踊ったりするから、なんか冷めてしまうんですよねえ。リア充は楽しめるのかもしれませんが。ええ、やっかみです。ごめんなさい。でもこの映画は鬱と躁のバランスが実にいい。ミュージカル映画には暗い話。これ、僕ら友達がいない人にとっては最高の食べ合わせじゃないでしょうか。

(文/神田桂一)

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