もやもやレビュー

夢見る三十路女子への最良のアドバイスがここに。『ブロークン・イングリッシュ』

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 いつか王子様がやってきて、幸せになれる。女の子ならきっと誰もが抱いていたであろう王子様幻想。さすがに30歳を超えて「いつか王子様が」と言ったりはしませんが、それに近いことをいまだに考えたりはします。七三分けで、白い馬に乗れて、上下白いスーツを着ている姿勢のいい王子様。いません。というか、いたら気持ち悪いです。
 そんなわけで、頭では「ないない」とわかっていても、心の深層からなかなか消えてくれない理想の王子様。もはや洗脳に近いです。しかし自分のことは置いといて、他人が王子様幻想を抱いている場合は容赦なく否定する人も多いのではないでしょうか。そんな時、あからさまに「ねーだろ!」と言うのはやはり角が立ちますし、他人の夢を土足でぶち壊すなんてゲスな真似はいけません。じゃあ、なんと言えばいいのか。そのヒントが『ブロークン・イングリッシュ』の中にあったんです。
 自分は世界一男運が悪いのだと決めつけて殻に閉じこもっている、アラサー女子が主人公。そんな彼女がフランス人の元彼を探しにパリへ行くんですが、途中から人探しよりも自分探しにシフト。ちなみにこの彼女もまた、王子様幻想に取り憑かれたひとりです。自分からは行動を起こさず、相手が来るのを待つばかり。愛されたい女なんです。追いかけて振られるのは怖いですからね。
 で、パリの夜、バーに出掛けた彼女が、偶然居合わせた老人から諭されます。
「人間はひとりでいると寂しいから相手を求めるが、あなたが求めているのは魔法だ。でも魔法はあまり起きない」でありますとか、「まずは自分自身の中に愛と幸せを見つけなさい」ですとか。要は「王子とかいねーから!」ってことなんですが、老人、長く生きてるだけあって言葉選びが非常に上手いです。もし次回、「いつか王子様が」的なことを言う人がいたら、ぜひこの言葉を借りたいです。

(文/根本美保子)

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