『菊次郎の夏』を観て、スーツを破り捨てたい。
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幼い頃に父親を失い、祖母と二人で暮らす小学三年生の正男が、遠くの町に住む母親に会うために、ひょんなことからビートたけし演じる遊び人の中年男、菊次郎と一緒にひと夏の冒険に出るお話。口数が少なく心を開かない正男と面倒くさがりで破天荒な菊次郎ですが、旅が進むにつれて少しずつ心を通わせていきます。
もちろんその人間ドラマも感動ですが、もうこの映画の良さはなんといっても夏! 夏の描写がいい! タイトルにも夏って入っていますしね。太陽! セミの声! プール! 汗! 冒険! アロハシャツ! 夏ですね夏ですね! こんなの観てたらスーツ着て椅子に座っているのがバカみたいです本当に!! なにがエアコンですか!! なにがパソコンですか!! 今すぐカッターシャツとスーツを破り捨ててTシャツで外に走り出したいです!!
それぐらい素敵な夏の描写でした。
そして何と言っても一番筆者の心を揺さぶったのが音楽です。『菊次郎の夏』の主題歌はあの久石譲の名曲「summer」なんです。おそらく日本の誰もが知っているこの名曲、この映画から生まれたんでした。劇中で「summer」が流れるたびに胸がズキズキ。
夏の日の夕暮れにひぐらしの泣き声、お母さんのスイカと線香花火。もう二度と戻ってこない夏休みを思い起こさせます。
ああもう!! 会社なんか行ってる場合じゃねえ!! そう叫びながら筆者はスーツを破り捨てる事なくするりと脱いで丁寧にハンガーにかけて、そっと目覚ましをセットして寝ます。
夏の切ない雰囲気を味わいたい人にぴったりの素敵な映画です。
(文/前髪ナガレ)