第21回 イカレた連中こそ、本当の愛を知る。 〜『世界にひとつのプレイブック』
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双極性障害・・・つまり「そううつ病」のことですかね。主人公は妻の不倫を目撃して、不倫相手をぶん殴ったりしたことから、刑務所、精神病院に送られ、やっと退院してきた男。
一方、ヒロインは、夫を交通事故でなくしたショックで、職場の男全員とやりまくってクビになった精神病を患う元・ビッチ。
このふたりがダンスを通してお互いの「欠落」を補完して、愛し合っていくハートフル・ストーリー。
実は私も以前、似たような病に陥り、会社を辞めたり、クビになったりした経験がございまっせ。
あのときはつらかったなー。ものすごく感覚が過敏になっているし、人の愛情というものに、疑り深くなっていました。
この映画の主人公ふたりも、ある意味、人生を踏み外した「破たん者」「アウトサイダー」でありますが、お互いの凸凹をぶつけ合うことで、見事、ギアががちっと組み合わさった、ハッピーな物語でした。
彼らは特殊な例ですが、私たちに何かの示唆を与えます。
みなさん、愛する人に遠慮していませんか?
相手によく思われたい。
相手にめんどくさいと思われたくない。
相手に嫌われたくない。
相手とぶつかり合うのがめんどい。
などなど。確かに、相手との日常が何のトラブルもなく、平々凡々と過ぎていくのはラクチンです。でも、そんな恋愛は本当に充実しているんでしょうか。
表面上の当たり障りないつきあいを好む人が増えています。時代でしょうね。
私もそんなところがあります。
でも。ときどき、空しさを感じますよ。もっと熱くぶつかり、愛し合いたいと。
相手の欠けている部分をスルーするのも優しさかもしれませんが、そこでガツンとぶつかって、火花を散らして得るものもあるんじゃないすかね。
この映画を観て、感動したのは、退路を断った二人の捨て身でガチなぶつかり合いでした。涼しくなってきたことだし、この冬、あなたも熱く一波乱起こしてみるのもいいんじゃないですかね。燃えましょうや、すっぴんの自分で!