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良い歌詞を書くためには、たくさん本を読まなければならないと思った ―――アノヒトの読書遍歴:平井拓郎さん(前編)
2011年に神戸で結成し、音楽情報誌「ロッキング・オン」のライブコンテンスト「RO69JACK2013」でグランプリを受賞した注目の4人組ロックバンドQOOLAND(クーランド)。そんな同バンドで、ギターボーカルを務める平井拓郎さんが読書にのめり込んだきっかけは、自作曲の歌詞を書くためだったそうです。
父が音楽好きだったので、僕も幼いころからビートルズをはじめとする素晴らしい音楽に触れていたんです。中学生になったときに自分でも曲を作りたくなり、まずは親にギターをねだりまして...。それで、良い歌詞を書くにはどうしたらいいか考えたときに、本を読むべきだと思ったんです。いろんなことを書いてみたいというのもあったので、母にたくさん本を買い与えてもらったんですよ。
――はじめは音楽を作るためだったんですね。どんな本を買ってもらったんですか?
小学生のときから『かいけつゾロリ』シリーズや『ズッコケ三人組』シリーズを好んで読んでいましたが、中学生になると純文学が読みたくなりまして。東野圭吾さんや伊坂幸太郎さんといった方々の作品を買ってもらうことが多かったですね。とくに東野さんの作品は魅力的な登場人物が多いんです。
――4月23日に発売された『毎日弾こうテレキャスターagain』には、「白夜行」という東野さんの小説と同名の楽曲がありますよね?
はい、そうなんです。もうこれは『白夜行』が一番最初に読書の面白さを教えてくれた本なので、迷わず曲のモチーフにさせていただきました。ある殺人事件の被害者の息子と加害者の娘が主人公で、それぞれの視点で別々にストーリーが進行していくんですね。主人公同士の会話がない分、事件を中心に考えたときの2人のつながり......活字にもなっていない物語の裏側を想像していくのが面白くて、音楽にしたい要素に溢れていました。
――なるほど。曲にすることで、聴いてくださった方がまた『白夜行』を読むということもあるでしょうし。自分の曲が媒介となって、誰かに読んで欲しいというのはありましたか?
ありますね。今回のミニアルバムは、以前出した『毎日弾こうテレキャスター』のリテイク物なので、曲自体はもっと前から存在するんです。なので、今までも曲を聴いてくださった方が読んでくれるということは何度かあって、そういうのはとても嬉しいですよ。分厚い本だけど読みやすいので、気づくとかなり読み進めているという。僕は中学時代あの本をコタツで仰向けに寝ながら読んでいたんですけど、腕がかなりしんどくなりました。曲のサビでも「衰弱死寸前の僕の左手」と歌っているのですが、あれは実話です。でも絶対おすすめの名書だと思います。
後編では、前編に続き新譜に収録されている曲のモチーフになった本や、平井さんが最近読まれている本をについてお聞きします。お楽しみに!
<プロフィール>
平井拓郎
ひらい・たくろう/1987年生まれ。ミュージシャン。2011年に東京で結成の4人組ロックバンド・QOOLAND(クーランド)のギターボーカル、作詞作曲担当。同バンドは音楽情報誌「ロッキング・オン」のライブコンテンスト「RO69JACK2013」でグランプリを受賞。4月23日には7曲入りミニアルバム『毎日弾こうテレキャスターagain』を発売した。