準決勝に挑むヤングなでしこ、本家なでしことの違いは

なでしこジャパン 壁をこえる奇跡の言葉128
『なでしこジャパン 壁をこえる奇跡の言葉128』
二見書房
1,080円(税込)
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 U20女子W杯で快進撃を続ける「ヤングなでしこ」こと、U20女子サッカー代表。きょう行われる準決勝では、前回優勝チームのドイツと対戦します。前売り券の売れ行きから、女子サッカー史上最多の観客が集まるのでは? といった声も聞こえてきます。

 本家なでしこのように、細かいパスワークでゲームを組み立てていくヤングなでしこ。体格の差をものともしない戦いぶりに見とれてしまうサポーターも多いはず。また、田中陽、猶本、仲田といった可愛らしい選手が揃うのもこのチームの特徴。「こんなに可愛いのに、そんなダイナミックなプレーをするの?」といったギャップが魅力的です。

 しかし、メディアにビジュアル面が取り上げられる程、彼女たちの「声」は私たちに届いていないのが現状ではないでしょうか。

 今日の試合は準決勝。そして相手は強豪・ドイツとなります。勢いだけでは勝ち進めない域にまでやってきました。こういった難しい試合の時、先輩であるなでしこの選手たちは、どのような考えをもっていたのでしょうか。書籍『なでしこジャパン 壁をこえる奇跡の言葉128』を開いてみました。

■苦しくなったら私の背中を見て。(澤穂希)

■結果を残すためには、誰かが我慢しなきゃいけない。(山郷のぞみ)

■嫌われたくない、と意見を控えてしまう時もあるけど、仲良しだからこそ言わなくては。(大野忍)

■周りに声をかけてのびのびプレーさせるのが自分の仕事。(岩清水梓)

■みんなで取ったフリーキックだから、大事に蹴りました。(宮間あや)

■強くなるために、チームメイトから怒られることもよくあります。そんな時はまず「うん、OK」と受け入れてる。その上で意見を言ってみます。耳の痛いことでも、絶対に無視はしません(安藤梢)

 さすが世界一を知っている選手たち。苦労が多かったぶん、重みある言葉が揃います。

 W杯の準々決勝でドイツと対戦したなでしこは、激闘の末、延長戦で何とか勝利を手にしました。この夏に行われた五輪の準決勝では、フランスを相手にリードするも、終盤に押し込まれ、我慢の時間が長く続きました。なんとか1点差で逃げ切りましたが、大会を勝ち進むにつれ、シビアな戦いが増えることを私たちに教えてくれました。

 今日のヤングなでしこの準決勝はどのような試合になるのでしょうか。本家なでしこの選手のように、重みある言葉が出てくるようになる、そんなきっかけとなる試合となれば、勝っても負けても、日本女子サッカー界にとって大きな財産となるでしょう。しかし、ここは勝負事、ぜひ勝って良い財産を手に入れて欲しいものです。


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