洋&エスニックの風味を取り入れた和食

イタリアン肉じゃが 撮影:蛭子 真
連載「割合でつくる だしいらずの和食」では、京都の老舗料亭の3代目、村田吉弘(むらた・よしひろ)さんが「だし」のかわりにうまみたっぷりの食材を使った料理を紹介しています。8月号では肉やトマト、ナムプラーを使った国際色豊かな肉じゃがベースの煮物をつくってくれました。

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■和食の基本の割合に、海外の風味を加えてみる

不測の事態が起こらなければ、この夏、日本、そして京都の町にも、たくさんの海外の方を見かけたと思います。
異文化交流も盛んになり、和食をさらに知っていただくよい機会だと思っていたので、少し残念です。ですが、ここは気を取り直して(笑)、みなさんに外国の風味をとり入れた和食をご紹介します。
和食がユネスコの無形文化遺産に登録された理由の一つに、「うまみを生かしている」という点があります。ですが、ほかの国がうまみを料理に使っていないかというと、そんなことはありません。ブイヨンなどは、まさに「洋のだし」ですからね。
ただ和食はほかの国の料理と比べて、うまみの要素が非常に大きい料理です。ですので、うまみを意識すると、自分たちの国の料理に対する理解が深まり、和食上手になれると思います。
しかしまあ、毎日が和食だと飽きてしまうのが、現代のわれわれ日本人。日本料理の料理人である私かてそうです。そんなとき、ぜひ今回のような、和食に洋やエスニックの風味をとり入れた料理をつくってみてください。2品とも「肉じゃが」をベースにしたレシピです。
アレンジする際のポイントは、味つけの割合はかえず、調味料や香りの要素をかえることです。特に香りは、料理の国籍を決める際に大きい存在です。
イタリアンにしたいと思ったら、オリーブ油にトマト、そしてバジルです。オリーブ油もトマトも家庭でよく使うようになっているので、バジルでもう一押ししたほうが、イタリア色が強まります。
東南アジア風にはナムプラー、そしてパクチー。じゃがいもではなくかぼちゃを使ったのは、かぼちゃがカンボジア出身の野菜だから、です。
※つくり方はテキストに掲載しています。
■『NHKきょうの料理』2020年8月号より

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