5万本のアジサイが咲き誇る古刹を訪ねて

本土寺の五重塔や本堂にはアジサイがよく似合う。撮影:田中雅也
アジサイと雨。広い境内を埋めつくす色とりどりのアジサイが雨の6月の境内に咲き乱れます。千葉県の本土寺を訪ねました。

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■古刹が「花の寺」に。始まりは「アジサイ」の花

JR常磐線北小金駅の北口から、のどかな田舎道をゆっくり歩くこと15分。すると朱塗りの仁王門(におうもん)が迎えてくれます。
その仁王門をくぐり、階段をトントンと下りると、両わきに色とりどりのアジサイが。いよいよ本土寺へ到着。
本土寺の境内は約1万坪。東京ドームなら1・5個分の広さです。そこにセイヨウアジサイ、ヤマアジサイ、ガクアジサイ、カシワバアジサイ、そしてアナベルなど約10種類、およそ5万本のアジサイが咲き乱れ、青、赤、白、ピンクなど花色も気ままに植栽されています。
日蓮宗の本土寺は700年の歴史をもつ古刹です。しかし、明治時代の廃仏毀釈(はいぶつきしゃく)などで、戦後はとても荒れ果ててしまったそう。
そこで、この由緒あるお寺をもう一度建て直そうと、ある檀家の方が「カエデやモミジ、サクラなど境内には緑の木々もたくさんある。だから花も植えて花いっぱいの寺にしよう」ということで目についた植物が「アジサイ」でした。
アジサイはしっかり根を張り、花も豪華、そのうえ、栽培も簡単です。季節はちょうどアジサイの花盛りの6月。それで、花つきの小さなアジサイの苗を寺の境内のあちらこちらに植えたのが「花の寺 本土寺」の始まりです。
その後、本土寺の境内を徐々に整備するごとにアジサイやそのほかの植物を植栽し、5~6月のアジサイの季節には、およそ5万本のアジサイが所狭しと咲き誇っているのです。
■『NHK趣味の園芸』2020年6月号より

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