バーで1杯目にビールはNG? 人気漫画原作者による「知っておきたい作法」
- 『バーテンダーの流儀 (集英社新書)』
- 城 アラキ
- 集英社
- 902円(税込)
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新型コロナウイルスの影響で苦境に立たされているバーですが、徐々に再開の見通しが立ちつつあります。応援を兼ねて、一度はバーに足を運んでみようと思う人もいるかもしれません。しかし、大人の社交場として敷居が高いイメージから躊躇する人もいることでしょう。
そんな人におすすめなのが『バーテンダーの流儀』。本書では、ドラマ化もされた漫画『バーテンダー』『ソムリエ』などで、さまざまな酒と人間模様を描いてきた漫画原作者の城アラキさんが、初心者はもちろん、誰もがバーを楽しめるコツをレクチャーしています。
いざ、バーに行こうとしたとき、あなたならどうしますか? お酒に詳しい友人に聞いてみる、ネット検索で評価の高い店を探すなど、飲食店を探す要領と同じで、と思いがちですが、城さんは「バーに競合店はない」と、この探し方を否定します。
本書によると、街場のバーを絶賛する人もいれば最低と評価する人もいる、それはバーテンダーの個性によるところが大きいからだ、とのこと。城さんは「良いバーがあるわけでも、良いバーテンダーがいるわけでもない。気の合うバー、バーテンダーがいるだけなのだ」と指摘します。
では具体的にはどうすればいいのでしょうか。それはホテルのバーテンダーに、「おすすめのバー」を思い切って聞いてみること。サービス業の人のほうが客の好みを的確に押さえた店を選択してくれる可能性が高いことが、その理由だといいます。
次に気になる点として、バーで何を飲めばいいのかという疑問です。本書では、1杯目は「ロングドリンク」、2杯目は「ショートカクテル」、3杯目は「ウイスキーなどのスピリッツ系のストレート」と紹介。ロングドリンクとは、氷入りの時間をかけて飲むカクテル。ショートドリンクは、三角形のカクテルグラスに入った氷なしのカクテルです。この順番だと胃に負担がかからないといいます。
ここで1杯目としては定番で、これからの季節においしい「ビール」が飲みたいと思う人もいるかもしれません。バーテンダーも「お好きなものを」と笑顔で答えるし、城さんも「文句はない」としながらも、ビール好きを敵に回しても"あえて"推奨しないと語気を強めます。
「ビールならパブで、ワインならワインバーで飲んだ方が絶対に美味しい。(中略)どうせバーで飲むならやはりバーテンダーが手がけた一杯を飲んでほしいのだ。ビールではなくビアカクテルを、ワインではなくワインカクテルを」(本書より)
本書では、こうしたバーでの流儀から、その歴史、バーテンダーという生き方にまで迫っています。巻末には「厳選バーリスト100」も収録しているので、バーに慣れている人にとっても価値ある1冊。家飲みだけではなく、バーという空間を楽しんでみてはいかがでしょうか。