地震を起こすナマズを押さえつける力持ち! タケミカヅチを祀る鹿島神宮

巨大なナマズを押さえつけている、タケミカヅチの石像。鹿島神宮にある「要石」に向かう参道に立つ。撮影:森山雅智
昔から自然災害が多かった日本では、暮らしの安全を守ってくれる神様を頼りにしてきました。剣の神様でもある鹿島神宮のタケミカヅチは、その腕っぷしの強さから、地震が起こらないように地中のナマズを押さえつけてくれています。國學院大學研究開発推進機構日本文化研究所教授の平藤喜久子(ひらふじ・きくこ)さんに、茨城県鹿嶋市にある鹿島神宮の由来と歴史を教えてもらいました。

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初代天皇とされる神武(じんむ)天皇は、日本を平定するために宮崎県の高千穂(たかちほ/諸説あり)から東の地へ向かいました。途中でさまざまな困難に出会いますが、その窮地を救った神様の1柱が、鹿島神宮のご祭神、タケミカヅチです。
剣や武道の神様として知られるタケミカヅチは、「韴霊剣(ふつのみたまのつるぎ)」によって神武天皇を助けました。この剣は、日本神話「国譲り」の中でオオクニヌシに地上の国を譲ってくれるように交渉した際、タケミカヅチがあぐらをかいて座っていたという剣です。
感激した天皇は、この鹿島の地に勅使を遣わしてタケミカヅチを祀り、それが鹿島神宮創建の基盤となりました。その後、東国遠征の拠点として重要な祭祀が行われ、奈良・平安時代には国の守護神に。中世以降は、源頼朝や徳川家康など名将の信仰も得て、戦いの神様としても崇(あが)められるようになります。
東京ドーム15個分といわれる広大な境内には、本殿と奥宮があり、その間は巨木に覆われた参道が300mも続いています。途中に、神様のお使いである鹿を飼育している「鹿園」も。春日大社(かすがたいしゃ)に招かれた鹿島の神様は、白い鹿に乗って奈良へ向かったとされ、東海道沿いに鹿島神社がいくつもあるのは、神様が立ち寄った足跡ともいわれています。こちらは、全国に約600社ある鹿島神社の総本社です。
奥宮をすぎ、右手に進むと「要石」、左手に進むと「御手洗池(みたらしいけ)」があります。「要石」は見える部分は直径30cmほどの丸い石ですが、大きな地震の時には、鹿島の被害を抑えたとされる、お宮最大のパワースポットです。
■『NHK趣味どきっ! 幸せ運ぶ! ニッポン神社めぐり』より

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