テック界の「こんまり」と話題の著者による「デジタル片付け」の実践法とは

デジタル・ミニマリスト: 本当に大切なことに集中する
『デジタル・ミニマリスト: 本当に大切なことに集中する』
カル・ニューポート,長場 雄,佐々木 典士,池田 真紀子
早川書房
1,980円(税込)
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 他にやらなくてはいけないこと、やるべきことはいろいろあるのに、ついつい陥ってしまうスマートフォンの罠。InstagramやTwitterなどのSNSにソーシャルゲームやアプリ、終わりなきネットサーフィン......こうした誘惑を断ち切れないという人も多いのではないでしょうか?

 一定期間スマホやパソコンなどのデジタル機器の使用を控える「デジタルデトックス」という言葉がありますが、もはやそうした一時しのぎでは不十分なのかもしれません。そこで、本書の著者カル・ニューポート氏が新しく掲げたのが「デジタル・ミニマリズム」という言葉です。

 これは思想であり、哲学でもあります。デジタル・ミニマリズムについて著者は本書で、「自分が重きを置いていることがらにプラスになるか否かを基準に厳選した一握りのツールの最適化を図り、オンラインで費やす時間をそれだけに集中して、ほかのものは惜しまず手放すようなテクノロジー利用の哲学」と定義しています。

 デジタル・ミニマリズムにおいて大事なのは、一般的なツールをすべて排除するのではなく、"これを成し遂げるためにテクノロジーを利用するのは最善といえるだろうか"と自身に問いかけ、数々のサービスを慎重に取捨選択していくということ。そしてデジタル・ミニマリストになるためには、今までの習慣をちまちま変えていく方法よりも、短期間で一気に移行するほうが成果が長続きしやすいそうで、この短期決戦のプロセスを本書では「デジタル片付け」と呼んでいます。

 では、デジタル片付けは具体的にどのようにおこなうのでしょうか? まずは30日というリセット期間を定め、かならずしも必要ではないテクノロジーの利用を休止する。そしてこの期間に楽しくてやりがいのある活動や行動を新しく探したり再発見したりする。休止期間が終わったら休止していたテクノロジーを再導入し、その一つひとつについて利用すべきか検討する、というプロセスをおこなうのだそう。

 本書には、デジタル片付けをおこなう上での演習も示されています。たとえば「スマートフォンを置いて外に出よう」「"いいね"をしない」「週に何か一つ、修理するか作るかしてみよう」「スマホからソーシャルメディアを削除しよう」「フィーチャーフォンに戻そう」など。簡単なものからハードルの高いものまでありますが、ここまでしないとスマホ依存はもはや容易には防げないのかもしれません。

 ちょうど年も変わり、新しい試みを考えている人も多い時期。デジタル・ミニマリズムの考えに共感した方は、本書を読んで実践してみるのもよいかもしれません。魅力的なデバイスだらけの世の中だからこそ、自身で取捨選択して人生の質を高めていくことの必要性が実感できるのではないでしょうか。

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