ビオトープでつくる生態系

陶器製の水鉢(直径42cm)に浅い部分と深い部分をつくって、水草を直接植え込んでつくったビオトープ。水草は日本原産のものだけを使用した。〈1〉ハンゲショウ、〈2〉シマフトイ、〈3〉ヒメドクサ、〈4〉アゼムシロ、〈5〉ガガブタ。 撮影:伊藤善規
ビオトープというのは生き物が暮らす場所のこと。例えば、容器に水を張って水生植物を入れただけのビオトープにも、さまざまな生き物が現れて生態系ができ上がっていきます。「水生植物などを使って見た目も美しいビオトープをつくり、どんな生き物がすみついていくか観察を続ければ、楽しみは2倍にも3倍にもなりますよ」と話すのは、園芸研究家の鈴木久利(すずき・ひさとし)さんです。

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■ビオトープにはそれぞれの生態系ができ上がる

ビオトープというのは、ギリシャ語のbio(生命)とtopos(場所)を合わせた造語です。日本語では「生物生息空間」などと訳されています。庭やベランダなど園芸を楽しんでいる場所に、多様な生物が暮らし生態系(命のつながり)ができ上がっていくのを観察するには、水辺の環境を再現するのが最も手軽な方法です。
容器に水をため、そこに水生植物とメダカ(必ずしも必要ではない)を入れておくと、やがてミジンコなどが湧き、ボウフラやユスリカの幼虫が現れ、さらにはトンボが卵を産んでヤゴまですみつきます。食う食われるという食物連鎖ができて、自然環境に比べれば単純ですが、水辺の生態系ができ上がります。
都会の住宅街でつくっても、自然の残った田舎の住宅地でつくっても、水辺のビオトープにはそれぞれの生態系ができます。この夏、ビオトープをつくって、どんな生き物がすみつくかぜひ観察してみてください。お子さんの自由研究にも使えることでしょう。

■水生植物を捨てないで!

水辺という環境が不安定なせいか、水生植物には繁殖力がとても強いものが多くあります。そのため、ビオトープに使用される水生植物が湖沼や河川に入ると、爆発的にふえてしまうおそれがあります。
実際、水生植物がふえすぎて生態系に影響を及ぼしたり、水流や船舶の航行を妨げて農業や漁業に被害を引き起こしたりしている地域があります。
いったんふえた植物を除去するには、莫大な費用と労力、時間が必要です。ビオトープに使用した水生植物は、外国産、日本産にかかわらず、株はもちろん、切った枝葉も野外に捨てたりせず、可燃ゴミに出すなどして確実に処分しましょう。
※※テキストではおすすめの植物やつくり方、管理方法を詳しく紹介しています。
■『NHK趣味の園芸』2019年8月号より

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