有機農業を始めて1年——自然の中で生きるということ

撮影:川しまゆうこ
番組の人気コーナー「農家1年生の畑日記」に出演している山田晃太郎さんに、就農1周年を機に会いにいきました。「まだスタート地点についたばかり」と話す山田さんに、有機農家の1年を振り返ってもらいました。

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■生き物の世界の一員になりたい

山田さんが営む「やまだ農園」は、茨城県石岡市の農村地帯にあります。山田さんは、大学で農村環境の生態学を研究。耕作放棄地の再生プロジェクトへの参加をきっかけに、有機農業と出会います。卒業後は農業系新聞社のカメラマンとして勤務。全国各地を取材するなか、大学のゼミで知り合った麻衣子さんと結婚し、長女の花ちゃん(3歳)の誕生を機に、本格的に農業を志すようになったそうです。
「学生時代から親しんでいた有機農業をやるのは自然の流れでした。農業は人から学ぶのが大事ですが、有機を習える場所はとても少ないのです。大学時代の恩師に『NPO法人あしたを拓(ひら)く有機農業塾』の涌井義郎先生を紹介され、新聞社を辞めて研修生になりました」
1年半の研修期間を経て「やまだ農園」を開設したのは、2017年11月のこと。
「畑は耕作放棄地が多く、やせていました。緑肥(りょくひ)植物をすき込み、畝(うね)の下に深い溝を掘って大量の落ち葉を入れるなど、少しずつ地力を回復させてきました」。土作りからコツコツと手塩にかけて育てた、10種類ほどの野菜を詰め合わせた「旬の野菜セット」が看板商品ですが、収穫量の少ない時期はやりくりに苦労したそうです。
「野菜最優先の生活は大変ですが、自然の中で生きていきたいと考えて農業を選んだので、充実した毎日です。春に草刈りをしていたら、キジの巣を見つけました。畑作りと生き物の世界のつながりを実感し、農業をやっていてよかったと心から思いました。巣のまわりの草を残しておいたので、ひなは無事巣立ったようですよ」と楽しそうに話します。
※続きはテキストでお楽しみください。
■『NHK趣味の園芸 やさいの時間』2019年2・3月号 より

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