郷愁を誘うポテトコロッケ

撮影:野口健志
じゃがいもがおいしい季節になりました。坂田阿希子(さかた・あきこ)さんが思い出のポテトコロッケをつくってくれました。

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「ポテトコロッケ」という名前の響きはどうしてこうも魅力的な郷愁を誘うのか。
子どものころ、「きょうはコロッケよ」という言葉に飛び跳ねて喜んだ。中学生のころは、部活帰りに近所のお肉屋さんのコロッケをおやつに買ったりした。このコロッケとは決まってポテトコロッケのこと。揚げたてサクサクをほおばれば、一気に幸せになれる。
シンプルな材料なのに見事なおかずに変身するコロッケってとってもエライ。ごちそうではないかもしれないけど、いつだってあの飛び跳ねて喜んだときのような、ウキウキした気持ちにしてくれる食べ物です。
材料はたまねぎと合いびき肉。できれば牛ひき肉と豚ひき肉をそれぞれ買って、好みの割合で混ぜるといい。肉の風味が強い、牛ひき肉多めが私の好み。
主役のじゃがいもはホクホクッとして淡泊な男爵がおすすめです。丸ごと、皮付きのままゆでるか蒸しましょう。少し時間はかかるけど、じゃがいものおいしさが全然違います。たまねぎはあの肉屋のコロッケ風に細かすぎないみじん切り。サラダ油でしっとりと炒めたらひき肉を加え、色が変わったところでしっかりめに塩、こしょう、そしてナツメグを。炒めたあとはバットに広げて冷ましましょう。じゃがいもがゆで上がったら木べらで好みの加減につぶし、塩、こしょう、バターと生クリームを少々。少し洋食風のコクのあるコロッケになります。たまねぎ、ひき肉の炒めたものと合わせたら、バットに広げて粗熱を取ります。いよいよ成形。ポテトコロッケならやっぱり小判形にしたいですね。小麦粉を全体につけて余分な粉は落とし、卵はしっかりと溶いてからめやすくする。そしてパン粉。衣がザクザクッと立った感じにしたければ生パン粉がおすすめ。
揚げ油はサラダ油にラードを混ぜると風味が断然よくなりますよ。だまされたと思ってぜひ試してほしいです。サラダ油の半量程度のラードを加え、170℃に温めたら、いよいよ投入。最初は触らないこと。少し衣が固まってきたところで転がしながら全体にきつね色になるまで揚げます。
そのアツアツをコロッケサンドにするのも、実はおすすめの楽しみ方。ふんわりの山形食パンにからしバターを塗って、たっぷりキャベツと揚げたてコロッケをのせ、ソースをかけて二つに折り曲げるだけ。これはもう、コロッケが揚げたてというのが何よりのごちそう。いつも私はコロッケサンドのためにコロッケを揚げたくなってしまいます!
※詳しい分量とつくり方はテキストに掲載しています。
■『NHKきょうの料理ビギナーズ』2018年10月号より

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