夢を育てるコーヒーノキ

撮影:竹田正道
コーヒー豆を収穫する、コーヒーノキをご存じですか? アカネ科の常緑低木で、光沢のある濃い緑色の葉が美しく、観葉植物としても大人気。美しい葉を楽しみながら上手に管理すれば、3〜5年でコーヒー豆が収穫できます。新潟県立植物園園長の倉重祐二(くらしげ・ゆうじ)さんに、コーヒーノキの基礎知識を教えてもらいました。

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■苗木が入手できるのはアラビア種

日本で観葉植物として苗木が流通しているのは、ほとんどが「アラビアコーヒーノキ」の実生1〜2年生です。樹高15〜30cm程度、葉は光沢のある深い緑色で、初夏から夏にかけて、観葉植物として園芸店などで販売されます。100円ショップで、発芽して数か月の小さな苗を見かけることもあります。
アラビアコーヒーノキの種子(コーヒー豆)は、ブラジルやブルーマウンテンなどのレギュラーコーヒーの原料になります。

■一年中室内で育てられる

アラビアコーヒーノキの原産地は、通年20℃程度の常春のエチオピアとスーダンの山岳地帯です。
生育適温は15〜25℃程度で、日本では春と秋に旺盛に生育します。冬は成長が止まりますが、5℃以上あれば室内で冬越しできます。
夏の暑さや、葉焼けを起こす強い直射日光が苦手なため、夏涼しく、冬暖かく管理することがポイント。窓越しの光でも育つので、観葉植物として周年室内で栽培できます。

■花も果実も種子も楽しめる

順調に育てば、植えつけて3〜4年で甘く香る白色の花が咲き、4〜5年で「コーヒーチェリー」と呼ばれる果実が収穫できます。果実はうっすらと甘みがあり、生食もできます。
果実には2個ずつ種子が入っていて、乾燥させて焙煎すれば、自家製のコーヒーを味わうこともできます。
実生苗をつくりたい場合は、果皮と果肉を取り除いて水洗いし、赤玉土や鹿沼土の細粒に種子の2倍の深さにまけば、30℃程度の温度で、約1か月で発芽します。
■『NHK趣味の園芸』2018年9月号より

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