生ゴミから堆肥を作ってみよう

撮影:渡辺七奈
広い場所が必要、原料を集めるのが大変、手間がかかるなど、難しいイメージがつきまとう堆肥作り。でも、生ゴミを原料に、段ボール箱を使えば簡単に作れます。東京農業大学名誉教授の後藤逸男さんにお話を伺いました。

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■生ゴミは良質な堆肥の原料

堆肥を作ってみたいけれど、発酵させるのが難しそうだし、場所もない。そもそも原料になる有機物も手に入らないからと、あきらめていませんか。
じつは身近なところに、良質な堆肥の原料が眠っています。それが、毎日の暮らしの中からいやおうなしに出る生ゴミです。これを原料に使えば、牛ふん堆肥にも負けない良質な堆肥が作れるのです。ゴミの減量化にも役立って、まさに一石二鳥といえます。

■手軽な段ボールコンポスト

とはいえ、生ゴミには大量の水分が含まれており、堆肥化するには分量を減らす必要があります。通気性のよい段ボール箱を使うことで、この問題を解決したのが、段ボールコンポストです。
必要なのは段ボール箱のほか、園芸店などで手に入るピートモス、もみ殻くん炭など。入手が容易で、費用もあまりかかりません。軒下に段ボール箱を置けばよいだけで、広いスペースも不要です。ただし、夏場は虫が発生しやすく、布カバーで箱をきっちりと覆うなどの対策が不可欠です。
畑で使う場合には、テキストで紹介した3ステップの2つめ「生ゴミの投入を終える」までいったら、そのまま畑に混ぜ込むことが可能です。10日ほど畑の中で熟成させてから、タネまきや苗の植えつけを行います。施す量は、2〜5リットル/平方メートルが目安です。これだけではチッ素が足りないので、硫安(りゅうあん)なら20〜40g/平方メートル、油かすなら60〜160g/平方メートルを目安に併用しましょう。

■生ゴミを堆肥にせずに使うには?

家の近くに10平方メートル程度以上の畑があり、毎日生ゴミを運べるなら、畑に直接生ゴミを施す方法もある。
まず、深さ20cm、幅30cmほどの細長い溝を掘り、端から順に生ゴミを入れていく。1日分の生ゴミを溝に入れたら、堀り上げた土の約半分を戻し、土壌微生物による分解を促すために、生ゴミとよく混ぜる。土の表面に生ゴミが出ると悪臭や虫の繁殖の原因になるので、上から残りの土を埋め戻す。春から夏の高温期なら、生ゴミの投入から約1か月でほぼ分解され、タネまきや植えつけが可能になる。
乾燥式の生ゴミ処理機で処理した生ゴミをためておき、畑全面に一度に入れる方法もある。その場合の施用量は3〜5kg/平方メートル。溝を掘り、前述の方法で施す。1か月待ってから、タネまきや植えつけを行う。
■『NHK趣味の園芸 やさいの時間』2018年1月号より

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