カラオケでは、歌詞にメロディーを乗せて歌おう

皆さんは、歌詞とメロディーの関係について考えたことはありますか?
歌うときの音程に悩む人が多い一方で、歌詞の言い回しや、イントネーションなどの悩みはあまり聞きません。日頃、自分たちが使っている言葉で書かれたものを歌うという気安さからでしょうか、歌詞よりも音のほうが重要だと思っている人も少なくないような気がします。
音程とリズムを苦手と感じている人は多く、メロディーはその両方が組み合わさっています。歌詞よりも、ついそちらに意識が行き……ということもあるでしょう。しかし、歌はメロディーとー緒に歌詞を歌います。音程とリズムが難しいからといって、歌詞を「ルルルー」とハミングする代わりに、音程とリズムが完璧だったとしても、歌の魅力がアップするということはまずありえないのです。
むしろ、決してうまいとはいえない歌でも、人の心を打つことがあるのは、歌詞の力によるものです。もちろん、一生懸命歌っているという歌い手の姿勢の影響もあるかもしれませんが、聞く人に歌詞のメッセージが伝わるという点は決して無視できないのです。
では、実際に、歌詞をメロディーに乗せるように歌うにはどうしたらよいでしょうか?
それにはまず、歌詞を一度読み込むことです。
そして、歌詞を読み上げたのち、歌詞をメロディーに乗せるように歌うには、リズムをどうしたらいいかを考えます。
例えば「私は、旅に出ます」という歌詞があったとします。
歌のメッセージやメロディーによって、さまざまな解釈ができそうな歌詞です。実際に相手に語りかける様子を想像してみましよう。
もし、別れや決意を秘めたような場面だったら、「私は、」でいったん切り、間をとってから相手に語りかけるのではないでしょうか。間違っても「私は〜」と語尾を伸ばして、のんきな感じで言うことはないはずです。ですから、仮にメロディーがこの部分を伸ばしていたとしても、歌う際は、短く言い切り、次の音まで間をつくったほうが歌詞の世界により近くなります。
メロディーのリズムが、歌詞のリズムと常に合っているとは限りません。歌詞に合わせてメロディーのリズムを調整して歌ってこそ、歌詞の説得力が増すのです。

■歌詞にメロディーを乗せて歌う方法

・歌詞をー度読み込んでみる
・実際に読み上げて、相手に伝わるリズムを考える
・メロディーとすりあわせて、歌詞に合うようにメロディーの長さを調整する

■コラム:歌詞のリズムで歌うと、カラオケの点数が低くなる!?

オリジナルの曲では、歌詞の世界観に合うように歌われていたメロディーのリズムが、カラオケになると変わってしまうことがあります。これには、カラオケならではの理由があります。
ほとんどのカラオケは、市販されている音源をもとに、耳で聞きながら専用の制作ソフトに音を入力して曲を仕上げます。この作業は専門の制作会社や、クリエイターの人々によって行われています。「耳を使って曲をコピー」するので、この能力のことを俗に"耳コピ"といいます。
彼らの高い専門能力と、機材の高品質化によって、カラオケ部分の音質はオリジナルの音源とほぼ変わらないレベルにまで向上しています。また、なかには、プロのミュージシャンによって実際に演奏された音源を用いるカラオケ曲もあります。ところが、歌の部分は、カラオケを楽しむ人が歌うものなので、当然収録されていません。
ー方、カラオケにはガイドメロディーという機能があります。これは、メロディーがうろ覚えな人でも歌いやすいよう、カラオケと一緒に鳴らすものです。ただし、これはオリジナルの歌の完全コピーではなく、万人にとってわかりやすいように、音の切りや伸ばしが簡略化されている場合がほとんどです。
カラオケの採点機能も、このガイドメロディーに沿っていることが多く、オリジナルでは歌手が歌詞を短く言い切っているような部分でも、採点用のバーが伸びていたりします。厳密な採点機能を採用している機械では、音の長さも採点結果に反映されるため、オリジナルと同様に短く歌うと、点が低くなる場合もあるそうです。
■『NHK趣味どきっ! あなたもカラオケマスター』より

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