『春画先生』見ないと惜しい、春画の世界

- 『春画先生』
- 塩田 明彦,小室 直子,塩田明彦,内野 聖陽,北 香那,柄本 佑,白川 和子,安達 祐実

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興味があり、これまでに二、三回、春画を見る機会があったのだが、日本で春画を常設展示している美術館・博物館はほぼ皆無。テーマがテーマだけにスポンサーがつきにくいのか、法律的な観点なのか、企画展も滅多にない。これがなかなか巡り会えない代物なのだ。実際に足を運んでみると、茶化しているような人はいないし、女性客の方が多い印象。そして、構図のユニークさとか、髪の毛一本いっぽんが精密に表現されている様子などに驚かされるし、感動する。見ないで済ませることのほうが惜しいと思う。
映画『春画先生』は、そんな春画の見づらさに真正面から向き合う物語だ。映画史上初、無修正での浮世絵春画描写に成功。実物は気恥ずかしいし、タイミングもないし、という人には絶対に体験してみてほしい。
春画研究者を演じるのは内野聖陽。にじみ出るような色気をまとう彼のもとに、研究に興味を持つ若い女性(北香那)がやってくる。最初は「春画なんて...」と戸惑っていた彼女が、少しずつ引き寄せられていく(春画にも、先生にも)。
春画はかつて「笑い絵」と呼ばれていて、淫靡(いんび)なものというよりは、近所の人や友達と一緒にゲラゲラ笑いながら見るようなものだったとか。前向きに生きるエネルギーを与えてくれる、今でいう漫画のようなものだったことがわかっている。描写が露骨すぎるということもあって伏せられてきた歴史もあるが、浮世絵という日本文化の裏にこういった文化が確実に存在したことをしっかりと学べる映画だと思う。
春画を見せる先生、見ようとする学生、そしてその二人を見つめる私たち観客。映画全体が、まるで静かな「春画のレッスン」になっている。今の人たちにこそ面白がってほしい。
(文/峰典子)

