「不毛な時間」を「豊かな時間」に変える アドラー心理学×コーチング【3つの問い】で人生が動き出す!?

- 『不毛な時間をゼロにする』
- 佐藤 悠希
- サンマーク出版
- 1,760円(税込)

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「SNSを一瞬だけ見るつもりが、気づけばいつの間にか1時間......」「早く帰ろうと思っていたのに、今日も残業コース」「パートナーと毎回、同じ原因で言い合いになってしまう」など、私たちの人生には、「やめたいのにやめられない習慣」「続けたいのに続けられない習慣」があるものです。けれど、人生の時間が有限であることを考えると、こうした「不毛な時間」は誰だって避けたいと考えるのではないでしょうか。
そこで今回ご紹介するのが『不毛な時間をゼロにする』。アドラー心理学をベースにした組織開発・人材育成の分野で、延べ3万人以上にコーチングを行ってきた佐藤悠希さんが、「不毛な時間」を「生産的な時間」に変える、超実践的アプローチをまとめた一冊です。
本人なりに一生懸命に取り組んでいるにもかかわらず、物事がうまくいかないとき、「じつは『ちょっとした問いかけ』や『言葉がけ』で、私たちの思考や行動は、驚くほど大きく変わります」(本書より)と佐藤さんは記します。
本書の根底にあるのは、次の3つの問いかけです。「本当はどうしたい?」という【主体性】を引き出す問い、「どうだったら最高?」という【未来への解像度】を上げる問い、そして「何が大事? どうして?」という【多様性】を認める問いです。たとえば、何か不毛だと感じる困りごとがあった際、これら3つの問いかけは「あなたは、何を目的に、その行動を選んでいるのか?」を明確にし、心と体のズレから生じる無駄な時間を減らしてくれるはずです。
時間だけでなく、不毛な習慣や努力、人間関係もできればゼロにしたいもの。本書ではこれらの問題についても、日常生活に取り入れられるテクニックを詳しく紹介しています。なかでも印象的なのが、「『シンプル化』こそ最強の不毛回避策」(本書より)という考え方です。一説によると、脳は1日に3万5000回もの意思決定をしており、その無数の「どうしようか」を減らすだけでも脳の負荷を軽減できると考えられます。
Apple創業者のスティーブ・ジョブズが、黒いタートルネックとジーンズという同じ服装で毎日を過ごしていたのは有名な話です。佐藤さんも、あるとき思いきって"服はワンピースしか買わない・着ない"と決めたのだとか。すると、服選びのストレスが減り、子どもやメンバーに丁寧に声をかける心の余裕が生まれたそうです。
一般的に知られている「断捨離」とはモノを捨てることを指しますが、選択や決断、行動、習慣といった"モノ以外"の断捨離のメリットも非常に大きいことがわかります。
このように、ほんの小さな考え方や行動のズレを軌道修正するだけで、私たちの人生は思いもよらない未来へと変わる可能性を秘めています。
佐藤さんは本書について、「必要なときに何度もこの本を開き、自分や周りと向き合うきっかけとして、"悩める時間を照らす灯台"のように使っていただけたら嬉しい」(本書より)と記します。
時間が溶けるのを防ぐコツが満載の本書を読んで、まずは自分が取り入れられそうなところから始めてみるのはいかがでしょうか。
[文・鷺ノ宮やよい]
